限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 と言って、ギャレット様は私の片手を取り、手の甲にキスをした。

 流石は、生まれついての王族。流れるような上品な所作に、不自然なところなんて何一つ見えない。

 彼らの姿が見えなくなるまで見送り、私はがっくりとしてベンチへと尻餅をつくように座った。

 これが、もしかして半年続くのかしら……嘘でしょう。あれをなんでもない顔で拒否し続けねばならないなんて、対応が難し過ぎる。

「……驚いた。少し見ない間に、こんなにもあの王太子と仲良くなっているのか。ローレン」

「まさか。イーサン? 貴方。どうやって、ここへまで入りこんだの?」

 振り向くと見えたのは私を将来娶るはずの男、大富豪イーサンだった。爽やかなグレーの貴族服を着こなし、当然のようにそこに立って居た。

 けれど、ここは王族専用の庭園のはずだ。

「それは、とても愚かな質問だな。俺たちの飼い主がお呼びだ。行こう」

 ということは、先ほど手紙を送ってきた王妃さまが、急ぎで私へ何か付け加えたいことがあったのかもしれない。

 私はイーサンに案内されて進み、豪華な天蓋で日差しを遮る東屋で座る人物へとカーテシーをした。

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