限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 イーサンは私の隣で跪き、頭を下げたままでそう言った。彼は平民なので、王妃に許されるまでは頭を上げられないのだ。本来なら王族にこうして拝謁が許されるのは、貴族だけだから。

 待って。ということは、イーサンは先ほどの私たちを見ていたってことかしら。

「……そうね。あの子がローレンにこれ以上執着すると、厄介だわ。デビュタントの日まで待てないわね。ペルセフォネの誕生日がもし来れば、あの子が王太子妃に内定していると言いやすいわ。もう少し、辛抱なさい。良いわね。ローレン」

 王妃は一方的にそう言ってから立ち上がると、こちらからの答えを待つことなく去って行った。

「……婚約者でなくなる時期が早まったのは、ローレンにとって良いこと?」

 完全に足音がなくなってから、イーサンは顔を上げてから悪戯っぽく笑った。

 この人もこういう、子どものような無邪気な笑顔を見せるんだ。

 非情で自分の利にならないものは容赦なく切り捨てているようだから、こういった可愛らしい表情を見せるとは思わなかった。

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