限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
「はい……正直、このまま……ギャレット様の傍に居ることは、辛いです。いずれ裏切らなければならないから」

「そのまま、婚約者で居れば? あの色ボケ王子に全部話して、味方になって貰えば良い。王妃とて、王には逆らえまい」

 なんでもないことのように言ったイーサンが信じられなくて、私は驚いた。

 彼は何を言っているんだろう。

 だって、それって……姪を王太子妃にしたい王妃様を裏切り、報酬を貰えなくなることを意味している。

 借金は、確かにどうにかなるのかもしれない。君主たる王族であれば、見たこともないような財産を手にしているだろう。

 それで、助けて貰えるかしら?

 ……ううん。王妃様はクインが侯爵となるまで援助してくれることも約束してくれた。

「……いいえ。私は約束された報酬が欲しいです。もし、王から王太子を騙した罪で、メートランド侯爵家へ罰が下されれば? それを試してみるには、あまりに未確定な要素が多すぎます」

「やれやれ。素直にならない子は、素直な子には勝てないよ」

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