眼鏡フェチがバレたら、税理士さんに甘く逃げ道を塞がれました

 それから時が流れ――春がやってきた。今年の確定申告はもちろんばっちりだ。頼りがいのある恋人が、つきっきりで対応してくれたから。
 申告後のご褒美デートで映画を見た帰り、新しくオープンしたカフェで休憩していた。今日の彼はTシャツにカジュアルなジャケット姿。かけているのは主張の少ないリムレスの眼鏡だけれど、これもいい。

「また私に見惚れていたんですか?」
「えっ、あ……はい」
「しおりさんが眼鏡好きだともっと早く知っていれば……あなたの視線をずっと独り占めできたのに」

 彼の前にある飲みかけのブレンドコーヒーに、悔しげな顔が映っている。

(怜司さんって、付き合うとこんな感じになるんだな。独占欲強めの溺愛キャラみたいな? 嬉しいけど)

 緩んだ口元をカップで隠しながら、仕事脳を起動させて観察していると――

「いらっしゃいませー」

 黒縁眼鏡の男性が入店してきて、思わずそちらに目がいった。

(……! 黒タートルに黒縁眼鏡……いい)

 すると、視界の端から彼の顔が現れた。私と黒縁眼鏡男性の視線上に割り込んできたのだ。

「今、あの人を見ていましたよね。黒縁眼鏡の。恋人の前で他の男に目移りですか?」
「こっ、これは眼鏡フェチの業と申しますか……!」
「……。よそ見した罰として、今夜はお仕置きです」

 頬杖をつき、慌てふためく私を意地悪な顔で見つめる彼は、今日も困ってしまうくらい眼鏡が似合っているのだった。
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