可愛い後輩の天使くんはあざと狼でした
会社から離れた居酒屋。俺の性格を知っている友人たちと飲んでいたら、まさかの隣に新山先輩がいた。
しかも、聞かれた。俺のことを。

バーで強い酒を飲んでも全然平気で、落ち着いていて、大人の余裕がある。
……こんな美人なら、大人の男が放っておくわけがない。俺なんか、きっと恋愛対象じゃない。
だって、酔ったふりをした俺を普通に家に入れるし。
危機感がないというか……“後輩”としてしか見られてないんだと、そのとき思った。

だからこそ、先輩が好きな薫くんのキャラに少しでも寄せれば、可愛い俺を演じていれば、ワンチャンあるかもしれない。そう思っていた。

でも、先輩の家にあった雑誌の袋綴じをめくった瞬間、俺は固まった。……監禁系?激重キャラ?

え、どういうこと。これ……まだいける?可愛い俺じゃなくて、素の俺でも、いける?さすがに監禁はないけど。

想いを打ち明けたとき、先輩は頬を赤くした。ああ、こんな顔もするんだ。可愛い。もっと見たい。

あの夜から、俺の中で何かが変わった。
もう、可愛い後輩の仮面だけじゃなくて、俺自身の気持ちで向き合おうと思った。

先輩は“二面性フェチ”らしい。なら、俺の二面性も全部使って、ちゃんと好きになってもらう。

可愛い顔も、笑った顔も、怒った顔も、困った顔も、全部、俺だけに向けてほしい。

好きになってもらえるように。
夢中になってもらえるように。
名前を呼んでもらえるように。
そう意気込んだ。
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