君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

守られた心と真剣な眼差し

それから、楽しみにしていた夏休みに入った。

ある日の午後。
私は美波と一緒にショッピングモールに出かけていた。

冷房の効いた館内を歩き回り、ウィンドウショッピングを楽しむ。

カフェで一息ついたとき、私は雅人との関係がようやく終わったことを美波に報告した。
話を聞いた彼女は「そっか」と優しく頷いてくれて、おかげで私の胸のつかえもようやく取れた気がした。

ひと通り買い物を終えて、

「じゃあ、また部活でね!」

と美波と解散する。

一人になって、私もそのまま出口に向かって歩いていた、そのときだった。

「……あれ、柚那?」

後ろから聞き慣れた声がして振り返ると、そこには新太と、見知らぬ男の子が立っていた。

「新太! なんでここにいるの?」

「いや、こいつとちょっと用事あってさ。お前、今帰り?」

新太の地元の幼馴染だというその男の子は、人懐っこい笑顔で私を見ると、

「へえ、新太の学校の友達? めっちゃ可愛いね! よかったらLINE交換しようよ。今度みんなで遊ぼう」

と、爽やかにスマホを差し出してきた。

突然のことに、私はどう対応していいか分からず、困ってしまう。
断り文句が見つからなくて、

「えっ、あ、えっと……」

と戸惑って一歩身を引いた、その瞬間だった。

「おい、ふざけんな。お前に教えるわけねーだろ」

新太が、幼馴染の男の子と私の間に割って入るようにして、一歩前に立った。

いつものようにふざけた口調で言っているけれど、私を振り返った新太の顔は、驚くほど真剣だった。
そのまっすぐな視線に、胸がどきっと跳ねる。

「ケチだなー、いいじゃん別に!」

「ダメ。ほら、行くぞ」

新太は幼馴染の肩を少し乱暴に押すようにして、さっさと歩き出そうとする。

強引に引き剥がされた幼馴染が不満そうに声を上げるのをよそに、新太は私の方をちらりと見た。

「じゃあな、またLINEするわ」

新太はそう短く言い残すと、幼馴染の肩を組んだまま、人混みの中へと消えていった。

別れ際、その男の子が「えー、なんだよ新太のケチ!またねー!」とこちらに手を振っている声が、ガヤガヤとした雑踏の音の中に小さく溶けていく。

静かになったモールの中で、私はなんとなくその場に立ち尽くす。

いつもおちゃらけているのに、さっきの新太はどこか違って見えた。

新太のあの、冗談めかした言葉の裏にあった真剣な目つきが、いつまでもトクンと不自然に心に残っていた。
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