君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
すがるような夜に
一日中、ずっと上の空だった翌日の放課後。
部活が終わり、誰もいなくなった更衣室で、私は耐えきれなくなって明里にすべてを打ち明けた。
「なるほどね……『だんだんすきになっていく』……。確かにそう読めるね。それが新太のことかどうかはまだわからないけど、もし相手が新太だった場合、茉莉の『仕方がないよ』っていうコメントは、ありえなくない?」
明里は、まるで自分のことのように眉を寄せて言った。
「だって、梨花たちは新太に柚那っていう彼女がいること、知ってるじゃん」
明里の言葉が、鋭い針のように胸に突き刺さる。
自分でも無意識のうちに気づいていた残酷な可能性を、第三者である明里に言葉にされると、より一層重みを増して耳に届いた。
もし、仮に梨花の好きな相手が本当に新太だったとしたら。
梨花と茉莉の二人は、その事実を共有した上で、あの暗号を投稿したということになる。
私が今、このモヤモヤした気持ちをどうにかしたいと思っても、今の私にできることと言ったら、新太に「ねえ、梨花のことどう思ってるの?」とか「浮気なんてしてないよね?」と尋ねることくらいだろう。
でも、そんなことができるわけがない。
もし私の勘違いだったら? 彼を信じたいと思っているのに、その私が「疑っている」という姿勢を見せてしまえば、新太はきっと私に幻滅する。これまで築いてきた二人の関係が、私の嫉妬や不安という勝手な理由で壊れてしまうのが怖くてたまらないのだ。
「それにしても、わざわざSNSで書くことかな……」
明里は私以上に怒ってくれていた。
「とりあえず今は様子を見るしかないかもしれないけど、梨花と茉莉は要注意だね。とくに梨花は」
真剣な顔で忠告してくれる明里に、私は小さく頷いた。
「うん……そうだよね。私も気をつけて見てみる」
明里は最後に私の肩をポンと叩いて帰っていった。
空っぽになった更衣室で、私は呆然と自分のスマホを見つめていた。
明日、新太と久しぶりに会う約束をしている。
このモヤモヤした気持ちを抱えたまま、これまで通りに接することができるだろうか。
彼の笑顔を見るたびに、梨花の投稿を思い出して、私はまた自分を追い詰めてしまうかもしれない。
『だんだんすきになっていく』
あの言葉が、呪いのように頭の片隅にこびりついて離れない。
明日、新太に会っても、彼から何かを言い出すことはないだろう。私に問い詰める勇気がない以上、本当のことなんて何もわからない。
だからせめて、私を抱きしめる力の強さや、いつもと変わらない優しい声に「やっぱり気のせいだったんだ」と安心させてもらいたかった。胸の奥にへばりついたこの嫌な予感を、彼の体温で跡形もなく溶かしてほしい。
どうか、すべて私の勝手な思い過ごしでありますように。
私はすがるような思いで、長く苦しい夜が明けるのをじっと待っていた。
部活が終わり、誰もいなくなった更衣室で、私は耐えきれなくなって明里にすべてを打ち明けた。
「なるほどね……『だんだんすきになっていく』……。確かにそう読めるね。それが新太のことかどうかはまだわからないけど、もし相手が新太だった場合、茉莉の『仕方がないよ』っていうコメントは、ありえなくない?」
明里は、まるで自分のことのように眉を寄せて言った。
「だって、梨花たちは新太に柚那っていう彼女がいること、知ってるじゃん」
明里の言葉が、鋭い針のように胸に突き刺さる。
自分でも無意識のうちに気づいていた残酷な可能性を、第三者である明里に言葉にされると、より一層重みを増して耳に届いた。
もし、仮に梨花の好きな相手が本当に新太だったとしたら。
梨花と茉莉の二人は、その事実を共有した上で、あの暗号を投稿したということになる。
私が今、このモヤモヤした気持ちをどうにかしたいと思っても、今の私にできることと言ったら、新太に「ねえ、梨花のことどう思ってるの?」とか「浮気なんてしてないよね?」と尋ねることくらいだろう。
でも、そんなことができるわけがない。
もし私の勘違いだったら? 彼を信じたいと思っているのに、その私が「疑っている」という姿勢を見せてしまえば、新太はきっと私に幻滅する。これまで築いてきた二人の関係が、私の嫉妬や不安という勝手な理由で壊れてしまうのが怖くてたまらないのだ。
「それにしても、わざわざSNSで書くことかな……」
明里は私以上に怒ってくれていた。
「とりあえず今は様子を見るしかないかもしれないけど、梨花と茉莉は要注意だね。とくに梨花は」
真剣な顔で忠告してくれる明里に、私は小さく頷いた。
「うん……そうだよね。私も気をつけて見てみる」
明里は最後に私の肩をポンと叩いて帰っていった。
空っぽになった更衣室で、私は呆然と自分のスマホを見つめていた。
明日、新太と久しぶりに会う約束をしている。
このモヤモヤした気持ちを抱えたまま、これまで通りに接することができるだろうか。
彼の笑顔を見るたびに、梨花の投稿を思い出して、私はまた自分を追い詰めてしまうかもしれない。
『だんだんすきになっていく』
あの言葉が、呪いのように頭の片隅にこびりついて離れない。
明日、新太に会っても、彼から何かを言い出すことはないだろう。私に問い詰める勇気がない以上、本当のことなんて何もわからない。
だからせめて、私を抱きしめる力の強さや、いつもと変わらない優しい声に「やっぱり気のせいだったんだ」と安心させてもらいたかった。胸の奥にへばりついたこの嫌な予感を、彼の体温で跡形もなく溶かしてほしい。
どうか、すべて私の勝手な思い過ごしでありますように。
私はすがるような思いで、長く苦しい夜が明けるのをじっと待っていた。