君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
出逢い
迷路へ続く、春の入口
雅人と別れたあとの私の心は、決してすぐに吹っ切れたわけではなかった。
ふとした瞬間に楽しかった思い出が蘇ってきては、夜に一人で泣くこともあった。
それでも、だんだんと時間が経つにつれて、雅人のことを思い出す回数は減っていった。
少しずつ、前を向いて次に進めそうな気がしていた。
ーーーーーーーーーー
そんなある日の休み時間、私は教室の窓枠に寄りかかり、同じクラスの友人・エマと話していた。
「ねえねえ、柚那。隣のクラスの新太(あらた)って知ってる?」
身を乗り出すようにして、エマが聞いてくる。
クラス以外に知り合いがいなかった私は、首を横に振った。
「ううん、全然知らない。その子がどうしたの?」
「実はね、今連絡を取り合ってて、なんか良い感じなんだよね〜!」
ちょうどその時だった。エマが廊下のほうを見て、パッと顔を輝かせた。
「あ! 新太ーー!!」
エマの大きな声に、通りかかった男子生徒が振り返る。
彼と目が合った瞬間、私はふと立ち止まった。
(……え?)
ほんの一瞬だけ、彼が驚いたように目をわずかに見開いたからだ。
けれど次の瞬間にはもう、彼は人懐っこい笑顔を浮かべてこちらへ歩いてくる。
「エマ、何? ……って、そっちの子は?」
「あ、紹介するね! 私の友達の――」
「下崎柚那です」
私の言葉を聞いた途端、彼は再び一瞬だけ、動きを止めた。
「下崎……?」
「えっ、下崎!? ……俺と同じ苗字じゃん!」
彼は少しだけ大げさに声を上げて笑ってみせた。
先ほどの驚いた表情は、私の見間違いだったのかと思うほど、彼の笑顔は自然だった。
それから数日して、エマを介して私たちも連絡先を交換することになった。
けれど、エマがすぐにバイト先の新しい人に夢中になり始めたことで、状況は少し変わった。
「あー、新太? 最近あんまり話してないや。今はバイト先の人が気になってて!」
あっけらかんと言うエマに、私は内心、驚きつつも「そうなんだ」と相槌を打つ。
エマと新太の間には、実はそこまでの進展はなかったらしい。新太からも、エマとはあくまで友人の距離感だと以前から聞かされていたため、私は深く気に留めることもなかった。
それからは、エマ以外の友人たちとも交友関係が広がり、私も私の学校生活を歩み始めた。
中学の頃からハンドボールが好きだったけれど、この高校には女子の部活がない。
少しの寂しさを覚えつつ、私は男子ハンドボール部のマネージャーになることに決めた。
その入部初日、同じくマネージャーとして手続きに来ていたのが美波(みなみ)だった。
「あ、もしかしてマネージャー志望? 一緒だね!」
明るい声で話しかけてくれた美波とは、すぐに意気投合した。
気が合う新しい友達も加わり、いつしか放課後は、私と新太、そして美波の三人で過ごす時間が当たり前になっていた。
ふとした瞬間に楽しかった思い出が蘇ってきては、夜に一人で泣くこともあった。
それでも、だんだんと時間が経つにつれて、雅人のことを思い出す回数は減っていった。
少しずつ、前を向いて次に進めそうな気がしていた。
ーーーーーーーーーー
そんなある日の休み時間、私は教室の窓枠に寄りかかり、同じクラスの友人・エマと話していた。
「ねえねえ、柚那。隣のクラスの新太(あらた)って知ってる?」
身を乗り出すようにして、エマが聞いてくる。
クラス以外に知り合いがいなかった私は、首を横に振った。
「ううん、全然知らない。その子がどうしたの?」
「実はね、今連絡を取り合ってて、なんか良い感じなんだよね〜!」
ちょうどその時だった。エマが廊下のほうを見て、パッと顔を輝かせた。
「あ! 新太ーー!!」
エマの大きな声に、通りかかった男子生徒が振り返る。
彼と目が合った瞬間、私はふと立ち止まった。
(……え?)
ほんの一瞬だけ、彼が驚いたように目をわずかに見開いたからだ。
けれど次の瞬間にはもう、彼は人懐っこい笑顔を浮かべてこちらへ歩いてくる。
「エマ、何? ……って、そっちの子は?」
「あ、紹介するね! 私の友達の――」
「下崎柚那です」
私の言葉を聞いた途端、彼は再び一瞬だけ、動きを止めた。
「下崎……?」
「えっ、下崎!? ……俺と同じ苗字じゃん!」
彼は少しだけ大げさに声を上げて笑ってみせた。
先ほどの驚いた表情は、私の見間違いだったのかと思うほど、彼の笑顔は自然だった。
それから数日して、エマを介して私たちも連絡先を交換することになった。
けれど、エマがすぐにバイト先の新しい人に夢中になり始めたことで、状況は少し変わった。
「あー、新太? 最近あんまり話してないや。今はバイト先の人が気になってて!」
あっけらかんと言うエマに、私は内心、驚きつつも「そうなんだ」と相槌を打つ。
エマと新太の間には、実はそこまでの進展はなかったらしい。新太からも、エマとはあくまで友人の距離感だと以前から聞かされていたため、私は深く気に留めることもなかった。
それからは、エマ以外の友人たちとも交友関係が広がり、私も私の学校生活を歩み始めた。
中学の頃からハンドボールが好きだったけれど、この高校には女子の部活がない。
少しの寂しさを覚えつつ、私は男子ハンドボール部のマネージャーになることに決めた。
その入部初日、同じくマネージャーとして手続きに来ていたのが美波(みなみ)だった。
「あ、もしかしてマネージャー志望? 一緒だね!」
明るい声で話しかけてくれた美波とは、すぐに意気投合した。
気が合う新しい友達も加わり、いつしか放課後は、私と新太、そして美波の三人で過ごす時間が当たり前になっていた。