君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

最後のクラス替え

2年生の時のクラス担任は、関西出身でサバサバとした性格の、生徒からとても親しまれている先生だった。

2年生の終わり頃、先生はホームルームの最中に冗談まじりにこう言った。

「3年生で一緒のクラスになりたくないやつがいたら、コソッと紙に書いて持ってこいよー」

明るい笑い声に包まれた教室。けれど、その言葉はただの冗談ではなかった。
みんなが本当に書いたのかは分からない。けれど、放課後、先生のデスクのもとには何人もの生徒が小さな紙を握りしめて列を作っていたのだ。

そのうちの一人が、私だ。

ペンの先が震えて、なかなか文字が書けなかった。あんなに好きだった人の名前を、こんな形で拒絶するために書く日が来るなんて。

四つ折りにした小さな紙を、震える手で差し出した。
そこには、「新太」と「梨花」の名前だけを記した。

列に並び、紙を手渡すとき、先生とふと目が合った。
言葉を交わすことはなかったけれど、先生の真っ直ぐな視線は、「大丈夫やで」と言ってくれているかのような、私の事情をすべて分かっている温かさを含んでいた。


ーーーーーーーーーーーーーー


やがて春が訪れ、私たちは3年生に進級した。

満開の桜が風に揺れる始業式の朝。新しいクラス名簿が貼り出された掲示板前は、歓声と悲鳴が交差して騒然としていた。
私は人混みの後ろから背伸びをして、緊張で冷たくなった指先を握りしめながら名簿を確認する。

まずは自分の名前を見つけた。3組だ。
そして、祈るような気持ちで、同じクラスの欄にあの二人の名前がないかを目で追う。

……ない。
新太と梨花の名前は、私のクラスにはなかった。

「よかった……」

ふぅっと、無意識のうちに止めていた息を吐き出す。胸につっかえていた重たい石が取れたような、心からの安堵だった。
あの紙を受け取ってくれた先生に、心の中で何度も頭を下げた。

しかも、同じクラスの欄には、見慣れた親友の名前がある。

「柚那! 見た!? 私たち同じクラスだよ!」

人混みの中から飛び出してきた明里と顔を見合わせて、私たちは手を取り合ってぴょんぴょんと跳ねて喜んだ。明里と一緒なら、最後の一年も絶対に楽しくなる。

さらに嬉しいことに、新しい教室へ向かうと、教壇に立っていたのは2年生のときと同じあの先生だった。

「なんや、またお前の担任かー(笑)」

と、先生は私の顔を見るなりカラカラと笑ったけれど、私にとってはこれ以上ない心強さだった。先生の顔を見た瞬間、新学期の張り詰めていた緊張が完全に解けていくのを感じた。

3年生のクラス分けは以下の通りだった。
私と明里は3組。仲の良かった真美は6組。
新太は1組で、梨花は2組。

あの二人が別のクラスになったことで、私の高校生活最後の1年間は、やっと平穏なものになるはずだ。

そして、勇斗は。
2年生のときから変わらず、そのまま理系のクラスへと進級していった。
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