君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
突然のお家ごはん
夜の通学路。自転車を押しながら並んで歩く帰り道は、想像以上に他愛のない話で弾んで、とても楽しかった。
(こういう風に、何の気負いもなく、自然体で笑い合えるのって心地いいな……)
さっきまでの戸惑いや自分へのブレーキを忘れ、彼との満ち足りた時間を噛みしめていたとき。ふと、見慣れた自宅の明かりが見えてきた。
「あ、着いちゃった」
名残惜しさを隠すように小さく呟いた私の耳に、不意に声が飛び込んできた。
「柚那~!!」
家の前には、ちょうど仕事から帰ってきたばかりらしきお母さんの姿があった。
隣を歩く勇斗に「お母さんだ」と小声で伝えると、彼はピタリと自転車の足を止め、野球部らしく背筋をピンと伸ばして大きな声で挨拶をした。
「こんばんは!!」
「こんばんは。……えっと、あなたは?」
突然の男子高校生の登場に目を丸くするお母さんに、私は少し慌てながら説明した。
「お母さん、いま帰り? ……えっと、帰り道が暗いからって、勇斗が家まで送ってくれたの」
すると勇斗は、お母さんに向かって深々と頭を下げ、ハキハキとした声で自己紹介をした。
「はじめまして! 柚那さんと同じ高校の、鈴村勇斗と言います! いつも柚那さんにはお世話になってます!」
「あら~! あなたが噂の勇斗くんね! わざわざ送ってくれてありがとう!」
お母さんの顔が、パァッと嬉しそうに輝いた。
実はお母さんとは普段から何でも話す仲で、明里とのことや、私が落ち込んでいた時に勇斗が助けてくれたこともすべて話していた。だから、お母さんはすでに彼の存在を知っていたのだ。
「あ! そうだ! 勇斗くん、この後まだ時間ある? よかったら晩ごはん、食べていってよ!」
お母さんのあまりに唐突なお誘いに、私はギョッとして口を挟んだ。
「ちょっとお母さん! 急にそんなこと言ったら迷惑でしょ! ……それに勇斗だって、家でお母さんがごはん用意してくれてると思うし」
慌てて断りを入れる私。しかし、勇斗は屈託のない、眩しいほどの笑顔で即答した。
「ご迷惑じゃなければ、ぜひごちそうになります! 僕、いくらでも食べられるので、家に帰ってもまた食べられますから!」
「まあ、頼もしい! よかった~! じゃあ、どうぞ中へ!」
お母さんは上機嫌でそう言うと、足早に自宅の中へと入っていってしまった。
残された私は、彼を見上げて、申し訳なさと緊張でいっぱいになりながら尋ねた。
「……本当によかったの? 急なお誘いでごめんね。無理しなくてよかったのに」
勇斗は、そんな私を安心させるように、フッと優しく笑った。
「全然無理してないし、大丈夫。……むしろ、ありがたいくらいだよ」
ありがたい、という言葉の意味を深く考える余裕もないまま。
まさか勇斗が我が家で夕食を食べていくことになるなんて。
私は、さっきまでとは違う意味で心臓の鼓動が激しく高鳴るのを感じながら、彼と一緒に自宅の玄関をくぐった。
(こういう風に、何の気負いもなく、自然体で笑い合えるのって心地いいな……)
さっきまでの戸惑いや自分へのブレーキを忘れ、彼との満ち足りた時間を噛みしめていたとき。ふと、見慣れた自宅の明かりが見えてきた。
「あ、着いちゃった」
名残惜しさを隠すように小さく呟いた私の耳に、不意に声が飛び込んできた。
「柚那~!!」
家の前には、ちょうど仕事から帰ってきたばかりらしきお母さんの姿があった。
隣を歩く勇斗に「お母さんだ」と小声で伝えると、彼はピタリと自転車の足を止め、野球部らしく背筋をピンと伸ばして大きな声で挨拶をした。
「こんばんは!!」
「こんばんは。……えっと、あなたは?」
突然の男子高校生の登場に目を丸くするお母さんに、私は少し慌てながら説明した。
「お母さん、いま帰り? ……えっと、帰り道が暗いからって、勇斗が家まで送ってくれたの」
すると勇斗は、お母さんに向かって深々と頭を下げ、ハキハキとした声で自己紹介をした。
「はじめまして! 柚那さんと同じ高校の、鈴村勇斗と言います! いつも柚那さんにはお世話になってます!」
「あら~! あなたが噂の勇斗くんね! わざわざ送ってくれてありがとう!」
お母さんの顔が、パァッと嬉しそうに輝いた。
実はお母さんとは普段から何でも話す仲で、明里とのことや、私が落ち込んでいた時に勇斗が助けてくれたこともすべて話していた。だから、お母さんはすでに彼の存在を知っていたのだ。
「あ! そうだ! 勇斗くん、この後まだ時間ある? よかったら晩ごはん、食べていってよ!」
お母さんのあまりに唐突なお誘いに、私はギョッとして口を挟んだ。
「ちょっとお母さん! 急にそんなこと言ったら迷惑でしょ! ……それに勇斗だって、家でお母さんがごはん用意してくれてると思うし」
慌てて断りを入れる私。しかし、勇斗は屈託のない、眩しいほどの笑顔で即答した。
「ご迷惑じゃなければ、ぜひごちそうになります! 僕、いくらでも食べられるので、家に帰ってもまた食べられますから!」
「まあ、頼もしい! よかった~! じゃあ、どうぞ中へ!」
お母さんは上機嫌でそう言うと、足早に自宅の中へと入っていってしまった。
残された私は、彼を見上げて、申し訳なさと緊張でいっぱいになりながら尋ねた。
「……本当によかったの? 急なお誘いでごめんね。無理しなくてよかったのに」
勇斗は、そんな私を安心させるように、フッと優しく笑った。
「全然無理してないし、大丈夫。……むしろ、ありがたいくらいだよ」
ありがたい、という言葉の意味を深く考える余裕もないまま。
まさか勇斗が我が家で夕食を食べていくことになるなんて。
私は、さっきまでとは違う意味で心臓の鼓動が激しく高鳴るのを感じながら、彼と一緒に自宅の玄関をくぐった。