それは面倒で。 でも愛しくて。
元カノとかプレゼントとか、過去の出来事に嫉妬してしまう狭量な心をどうにかしたい。
いちいち妬いていたらキリがない。
それでもやきもきしてしまうのは、蜜葉を想っているからだ。
蜜葉は嫌になってしまうだろうか。
ヤキモチ妬きの彼女なんて、やっぱり面倒だと呆れられてしまうだろうか。
カレーを盛り付けテーブルに並べ、はあ、と息を吐くと、小箱を持った蜜葉が仕事部屋から出てきた。燃えないゴミの袋に、ポイとそれを入れ玄関に置いて戻ってきた。
「鈴華の嫌なことは全部解決したいから、その都度言ってね」
ソファに座り、いただきます、とカレーを食べ始める蜜葉を見て、あたしもスプーンを持つが食べる気になれず、宙を見たまま動きが止まってしまった。
「まだ、なにかある?」
あたしの様子を見て蜜葉が眉を八の字にする。
蜜葉のせいじゃないのに、蜜葉を困らせてしまうあたしのこの性格を、どうにかしたい。
「いちいちヤキモチ焼くの、面倒よね。自分でもどうかと思うわ」
蜜葉はスプーンを置いてあたしの横に並び身を寄せた。そしてあたしの頭をその大きな手で肩に引き寄せ抱きしめる。
「面倒じゃないよ。可愛いし、何より嬉しい。でも苦しい思いをさせて申し訳ないとも思う。鈴華を大事にしたいし傷つけたくないから、そんなこと思わなくていいよ」
「……うん」
「それに、僕のヤキモチも大概だけど」
「蜜葉も妬くの?」
「未だに元カレにも妬くし、圭介のことも警戒してる」
「そうなの?」
「木ノ葉にまた元カレが来てないか心配だし、コーヒーショップに行けば圭介がいる。気が気でないよ」
「あたしだって、麗奈さんがまた蜜葉に近づいてきたらどうしようって不安になることあるわ」
「それはない」
「あたしだって、蜜葉以外とどうかなることはないわ」
「もちろんそう思ってるよ。狭量でごめん」
「あたしも、ごめんね」
「お互い、面倒な恋しちゃったね」
「ふふ。そうね。それが蜜葉で幸せだわ」
「僕も。鈴華でよかった」
蜜葉が触れるだけのキスをする。くん、とカレーの匂いがして笑うと、蜜葉が首を傾げて不思議そうに見つめる。
「カレー味のキスってなかなかないわ」
「あ、ごめん」
「ううん」
「いつも作ってくれてありがとう。出張中、自炊してみたけどやっぱり無理だった」
「ホットケーキも生焼けだったものね」
「いつか朝ごはんを作る夢は実現的なさそう」
「明日のパン屋さんが楽しみね」
「天気が良かったら外で食べようか」
「そうね。ピクニックね。楽しみ」
ヤキモチを妬いて、困らせて。
喧嘩をして仲直りをして。
そうやって二人で過ごす毎日が続くことが当たり前だと信じられるほど、あたしは蜜葉を愛している。
翌朝、カーテンの隙間から差し込む朝日に目を細め、隣で眠る蜜葉の頬にキスをした。
それは面倒で。でも愛しくて。...end
