元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です
夜、自宅に帰ると、さっさと夕食を食べて風呂に入り、冷蔵庫から出したビールを開ける。
ビールを飲みながらスマホを手に取り、再びメッセージ画面を開く。
《来週でしたら、土曜日でも日曜日でも都合つけられます》
もう一度読んでも内容は変わらない。
当たり前だ。
なのに、何度も読み返してしまう。
未来とのメッセージ画面へ切り替える。
《来週の土曜日の夜ってレストランの予約取れるか?》
すぐに返信が来た。
《大丈夫。何? デート??》
俺は、一人きりの部屋で無駄に不機嫌な表情を浮かべながら返信する。
《デートでお前の店は行かない。とりあえず夜七時に三人で予約取っとけ》
《はーい》
そして再び理緒とのメッセージ画面へ戻る。
《土曜日の19時に予約が取れました。18時45分頃に水道橋駅で待ち合わせしませんか?》
そう打って、送信ボタンの前に手を止めた。
送信前に何度も読み返して確認する。
そんな自分に、中学生の頃から変わってないじゃないかと嫌気が差した。
何度も読み返し終わって、やっと送信ボタンを押した。
メッセージが送られた。
無駄にメッセージ画面を眺める。
すぐには既読にならない。
そりゃそうだ。
向こうには向こうの生活がある。
諦めてスマホを置いた瞬間、通知音が鳴った。
《メッセージ:神崎理緒》
息を止める。
開こうとして、指を止めて、スマホを伏せる。
――いや、何を駆け引きしてるんだよ。
自分で自分にツッコミを入れながら、再びスマホを手に取り、メッセージ画面を開いた。
《ありがとうございます。未来にも、会えるんでしょうか?》
そうだよな。
そりゃそうだ。
別にデートするわけじゃない。
理緒が会いたい相手は、俺じゃなくて未来だ。
再び未来とのメッセージ画面へ切り替える。
《その日、お前出勤か?》
《土曜日だし、当たり前じゃん》
《一瞬ホールに出てこれるか?》
《は? 何なの??》
《それは当日な》
《は???》
未来にはそれ以上返信することなく、再び理緒とのメッセージ画面へ戻る。
これ以上説明したら、未来がしつこく勘繰ってくるのが目に見えている。それは、とても面倒だった。
《未来も店にいるって》
また、しばらくスマホを眺めていたけれど、既読にすらならなかった。
スマホを放るようにベッドへ置き、自分もそのまま倒れ込んだ。
目を閉じていたら、いつの間にか眠っていた。