元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です
おしゃれなカフェの前に差しかかったとき。

「……美味しそう」

遠山先生が、店先のメニュー看板を見て目を輝かせる。

「あっ、すみません。私、ビターチョコに目がなくて……。ビターチョコパフェって珍しくて、つい……」

「あ、本当だ。美味しそうだね」

遠山先生は少しもじもじしながら、言いにくそうに口を開く。

「あの……藤森さん、この後ってまだ時間ありますか? よかったら……」

「え? あぁ……なくはない、けど……」

――できれば、一人になりたかった。

「……けど?」

「……いや、大丈夫」

その瞬間、遠山先生の表情がぱっと明るくなる。

ころころ変わる表情が、素直に可愛いと思った。

「お付き合いくださってありがとうございます」

「いや、俺も気になったから。ビターチョコパフェ」

「藤森さんも甘い物好きなんですね! さ、入りましょう」

そう言って笑う遠山先生に引かれるように、俺もカフェの中へと足を踏み入れた。
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