元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です
エンドロールが終わり、観客たちはぽつぽつと席を立ち始めていた。
晃もまた、隣に座る彼女――職場の後輩の遠山紗月と一緒に、映画館を後にした。
「……すごく良い映画でしたね。私も泣いちゃいました」
――“私も”、ね。
やっぱり、泣いていたのはバレているらしい。
それでも、思っていたほど引かれていないことに、少しだけ安堵する。
「藤森さん、この原作って読んだことあります?」
「え!? ないない」
――あったら、そもそも観に来ていない。
「そうなんですね。原作もすごくいいんですよ。よかったらお貸ししますよ」
「……ありがとう」
できるだけ自然な笑顔を作って返す。
「原作だと、番外編とかもあるんです。それがまたすごくキュンキュンして……。藤森さんって、恋愛小説とか読みます?」
「いや、読まないかな。映画も、正直キャリア教育の件がなければ……」
そこまで言いかけて、俺はふと思い出した。
そうだ。
この映画を観に来たのは、ただのデートじゃない。
「そういえば、今度のキャリア教育で作者さんが来るんですよね。楽しみですね」
「原作者が……来るんだよね。映画の脚本家とか監督じゃなくて」
自分でも、妙な確認だと思った。
「ええ? はい。昨年度の先生からの引き継ぎで、今年度のキャリア教育の講師として来てくださるって。母校貢献も兼ねて、引き受けてくださったみたいですよ」
「……母校」
喉の奥が、妙に乾く。
理緒が書いたのだとしたら。
本当に、そんな偶然が――。
「今大ヒット中の映画の原作者が、うちの学校の卒業生だなんて、すごい偶然ですね」
「……はは。すごい『偶然』だ……」
――まさか、自分がキャリア教育を担当した年にくるなんて。
笑ったつもりだった。
けれど、自分でも驚くほど声が掠れていた。
晃もまた、隣に座る彼女――職場の後輩の遠山紗月と一緒に、映画館を後にした。
「……すごく良い映画でしたね。私も泣いちゃいました」
――“私も”、ね。
やっぱり、泣いていたのはバレているらしい。
それでも、思っていたほど引かれていないことに、少しだけ安堵する。
「藤森さん、この原作って読んだことあります?」
「え!? ないない」
――あったら、そもそも観に来ていない。
「そうなんですね。原作もすごくいいんですよ。よかったらお貸ししますよ」
「……ありがとう」
できるだけ自然な笑顔を作って返す。
「原作だと、番外編とかもあるんです。それがまたすごくキュンキュンして……。藤森さんって、恋愛小説とか読みます?」
「いや、読まないかな。映画も、正直キャリア教育の件がなければ……」
そこまで言いかけて、俺はふと思い出した。
そうだ。
この映画を観に来たのは、ただのデートじゃない。
「そういえば、今度のキャリア教育で作者さんが来るんですよね。楽しみですね」
「原作者が……来るんだよね。映画の脚本家とか監督じゃなくて」
自分でも、妙な確認だと思った。
「ええ? はい。昨年度の先生からの引き継ぎで、今年度のキャリア教育の講師として来てくださるって。母校貢献も兼ねて、引き受けてくださったみたいですよ」
「……母校」
喉の奥が、妙に乾く。
理緒が書いたのだとしたら。
本当に、そんな偶然が――。
「今大ヒット中の映画の原作者が、うちの学校の卒業生だなんて、すごい偶然ですね」
「……はは。すごい『偶然』だ……」
――まさか、自分がキャリア教育を担当した年にくるなんて。
笑ったつもりだった。
けれど、自分でも驚くほど声が掠れていた。