元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です

校長先生と副校長先生

俺は体育館の簡単な片付けを済ませると、急いで校長室へ向かった。

先ほどとは違う気持ちで、自然と足が速くなる。

校長室のドアの前で一度立ち止まり、ジャケットの襟を整えた。

中から、校長先生と理緒の声が聞こえる。

――まだ帰ってない。

それだけで、少しだけ安堵した。

ドアをノックする。

「失礼します」

校長先生と理緒が、向かい合って応接ソファに腰掛けていた。

理緒は一瞬こちらを見て、気まずそうに視線を落とす。

「講演、ありがとうございました。胸に刺さる内容でした」

本音を言えば、俺も少し気まずい。
でも、その場を取り繕いたくて、必死に作り笑いを浮かべた。

理緒は一瞬固まったようにこちらを見ていたが、すぐに仕事の顔に戻る。

「……ありがとうございました」

「……そう言えば、藤森先生はこの学校の出身じゃなかった? 年齢も神崎さんと近いんじゃないですか?」

「え……あ……はい」

作り笑いが引きつる。

「じゃあ、同じ時期に学校にいたのかな? ……もしかして、知り合いだったりする?」

「え……あ……はい……」

「え? 知ってるの?」

校長先生は理緒へ確認するように尋ねる。

「……はい。藤森さんが先輩で……」

「なんだぁ、そうなの? 藤森先生も早く言ってくれればいいのに」

「いえ……今日気付いたもので……」

「そっかそっか。じゃあ、せっかくだから少しゆっくり話してきなさい。校長室使っていいから」

そう言って、校長先生は部屋を出て行ってしまった。
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