腕まくりイケメンバーテンダーの秘密

1.魅せられて

 いつからだろう……。
 私が腕まくりをしている男性の、腕の血管やその浮き立つ筋に魅力を感じたのは。学生時代は特に何も思わなかったのに、仕事をするようになって気付いた自分のフェチ。

 ある日、資料室を片付けるからと上司に駆り出され、私を含む数人の社員で作業をした。ワイシャツ姿の男性社員が荷物を運ぶ、その姿に見とれてしまう。普段は細い印象の男性がシャツを捲り腕を見せる。そして力を入れて動かしたときに浮かび上がる、あのゴツイ腕の感じ。

 いいよねぇ……。

 私、坂井 菜津(さかい なつ)は都内で一人暮らしをしながら、文具メーカーで総務の仕事をしている二十九歳。婚活アプリに登録している最中、好みのタイプを入力していたはずが頭の中で脱線し、つい勝手にピンポイントな好みを妄想していた。こんなのアプリに載せられるわけないと気付き、慌てて削除する。
 
 はぁ、困った。さすがに現実を見なくてはいけないお年頃なのに……。

 私は最近、ある魅力的な腕を見つけてしまった。
 場所は、都内にあるバーカウンターの中。そこでシェイカーを振る一人のバーテンダーの男性に目が離せなくなった。
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