久我くんの過保護が止まらない!
観念した陽菜は、おずおずと背中へ近付いた。

「……失礼します。」

恐る恐る肩へ手を回した次の瞬間。

ふわりと身体が浮いた。

「わっ!」

湊は軽々と陽菜を背負い、そのまま立ち上がる。

「あほみたいに軽いやん。」

「うっそだぁ....!」

「ほんまやって」

背中越しに聞こえる穏やかな声。

陽菜は少しだけ照れ笑いを浮かべながら、その背中へそっと身を預けた。

昔、小学生の頃。

転んで膝を擦りむいた帰り道も、こうして背負ってもらったことがあった。

あの頃よりずっと大きくなった背中は、不思議なくらい安心できる。

人混みを抜ける夜風が、二人の浴衣を優しく揺らした。

その温もりが少しでも長く続けばいいと願っているのは――きっと、湊だけだろう。

家へ着いた頃には、時計の針は九時を少し回っていた。

< 229 / 237 >

この作品をシェア

pagetop