次の世界でも、私を探してくださいね。

23

  離山が部屋を出て行った時、竹香は体中の力が抜けて、床に座りこんで両手で顔を覆った。

 嘘みたいだ。
 離山お兄さんが、あの冬氷だった。
 
 わたしは、人間界で、キャプテンに会えた。
 本当は、会いたかった人。
 キャプテンはわたしのことを思っていてくれた。

 竹香は床に座りながら、頭を抱えた。うれしすぎる……けど。

 どうしてあの時、キャプテンに、事実を確かめようとしなかったのだろうか。
 14歳のわたしは口を聞くのも恥ずかしすぎたし、混乱していて、彼と向き合うなんて、とてもできなかった。誤解があったとどこかで感じてはいながら、真実を見ないで、逃げてしまった。

 ショックと怒りがエネルギーをくれたから、あんな大胆な決心ができて、人間界に来ることになった。だから、それはよかったと言えるかもしれないけれど。

 でも、キャプテンが人間界に来ることになったのは、なぜなのだろうか。
 何かの病気をしてあんな身体になり、仙師をやめることになったのだろうか。
 いいえ、仙師には病気は治せるはずだし、身体が弱いからといって、仙界を去った人はいないはず。

 まさか、わたしのために人間界に来た、ということはないでしょう、ね。わたしの存在がそんな影響を与えているなんて、考えられない。
 でも、離山さまはいつもわたしのそばにいて、助けてくれている。
 それは、どういうこと?
 わからない。
 
 そう、わからないことは訊いてみよう。
 これからは、何でも訊くことにしよう。
 
 今までは間違いをたくさんしてきてしまったけれど、ここからは間違えないにようにがんばるんだ。シャイすぎることは理由にはしない。そんな壁なんか、がんばれば飛び越えられる。そんな弱すぎた自分とはきっぱりと別れて、自分で自分の道を選び、その選んだ道を歩ける人になろう。


 キャプテンがわたしのことを思ってくれていることは確か。
 わたしの浅はかな行動を責めないどころか、謝ってくれたりなどして。なんてやさしい人なのだろう。心から、ありがとうございます。
 幸せすぎて、泣きたくなる。

 竹香は芍薬麗園の仕事に戻ろうと思って、彼にメモを残した。
 キャプテンに会えたのだと思うと、もうじっとしてはいられない。何かしたい。動いていたい。こんな時、庭の仕事はぴったり。今は力仕事がしたい。今なら、庭中を掘り起こせる気がする。

 





< 23 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop