次の世界でも、私を探してくださいね。
42
アミノの手伝いを終えて、竹香が書斎に行くとキャプテンの姿はなかった。どこにいるのかと居間にも書斎も探してみたが、見つからない。
たくさんのことがあったから、もう疲れて眠ってしまったのかしらと寝室のほうに行くと、彼は入口に近いところに置かれた椅子に、本を膝にのせたまま、目を閉じるようにして、ぽつんと座っていた。
竹香が静かに近づいていった。
「キャプテン、こんばんは。お疲れですか」
「いいや。チーチーがいつ来てくれるのかと、待っていたんだ」
「わたしを待っていてくれたんですか」
「そうだよ」
「うれしい。やったー」
竹香が飛び上がったので、冬氷が目を丸くして、吹き出した。
「何がやっただよ」
「キャプテンがもう寝てしまったのかと思ったじゃないですか」
「そんなこと、あるはずがないだろ」
竹香はうれしすぎて、本当は勢いをつけて彼に抱きつきたいところなのだけれど、そんなことをすると、華奢な彼が壊れてしまいそうなのでやめた。
ここにすわってごらん、と彼が自分の膝の上を指さした。
「いいの?足、痛いでしょ」
竹香の顔が赤くなっている。
いいや、と首を振るので、竹香がおそるおそる彼の膝に、そっと腰を下ろしてみた。
「痛い?」
「いいや」
「重い?」
「重くない」
竹香が下りようとすると、彼が後ろから両手で包み込んだ。
「大丈夫?」
竹香が後ろを振り返って、彼の顔を見たら、微笑みがかえってきた。
「足はだんだん治ってきているんだ。今夜はまだチーチーを寝台までは運べないけど、もっと練習すれば、運べるようになれると思う」
今夜、寝台まで運ぶ、と言った?
その言葉を聞いて、竹香の胸が音を立てた。
それって、あれじゃないですか?
結婚の夜に、婿さんが花嫁を運ぶというあれのこと。
「わたし、ここで一緒に寝ていいのですか」
望む、と彼の瞳が訊いた。
もちろん望みますと竹香は大声で言いたいところ、だったけれど、はしたない気がしたので何も言わずに頷いた。
「わたし、重いから、相当練習しなくっちゃ、運べませんよ」
「チーチーの重さは知っている」
「でも、あのパレードの時から、もう何年もたっているから」
「3年だよ」
「考えてみたら、たったの3年」
「そうだね。永遠みたいに、長く感じた時もあったけど、そんなに長くはなかったんだ」
「海辺の村に行ったら、毎日、散歩をしましょう。そしたら、足も強くなるから」
「いいね」
「わたし、治療法を考えて、キャプテンの足を治してみせます」
「ありがとう。チーチーにそう言われたら、治る気になってきた。そのうちに、チーチーを抱いたり、背負ったりできるかもしれない」
「きっとできます。でも、今夜は、わたし、ひとりで歩いて行きます」
竹香は膝から下りて、ドアをあけて、寝台まで歩いてから振り返り、その上にジャンプした。
チーチーらしい、と離山は笑いながら、椅子から立ち上がって部屋にはいってきた。
「でも、ぜったいに、いつかはわたしを抱いて、寝台まで運んでくださいね」
「わかった。運ぶから」
離山が両手を伸ばして、大きく頷いた。
たくさんのことがあったから、もう疲れて眠ってしまったのかしらと寝室のほうに行くと、彼は入口に近いところに置かれた椅子に、本を膝にのせたまま、目を閉じるようにして、ぽつんと座っていた。
竹香が静かに近づいていった。
「キャプテン、こんばんは。お疲れですか」
「いいや。チーチーがいつ来てくれるのかと、待っていたんだ」
「わたしを待っていてくれたんですか」
「そうだよ」
「うれしい。やったー」
竹香が飛び上がったので、冬氷が目を丸くして、吹き出した。
「何がやっただよ」
「キャプテンがもう寝てしまったのかと思ったじゃないですか」
「そんなこと、あるはずがないだろ」
竹香はうれしすぎて、本当は勢いをつけて彼に抱きつきたいところなのだけれど、そんなことをすると、華奢な彼が壊れてしまいそうなのでやめた。
ここにすわってごらん、と彼が自分の膝の上を指さした。
「いいの?足、痛いでしょ」
竹香の顔が赤くなっている。
いいや、と首を振るので、竹香がおそるおそる彼の膝に、そっと腰を下ろしてみた。
「痛い?」
「いいや」
「重い?」
「重くない」
竹香が下りようとすると、彼が後ろから両手で包み込んだ。
「大丈夫?」
竹香が後ろを振り返って、彼の顔を見たら、微笑みがかえってきた。
「足はだんだん治ってきているんだ。今夜はまだチーチーを寝台までは運べないけど、もっと練習すれば、運べるようになれると思う」
今夜、寝台まで運ぶ、と言った?
その言葉を聞いて、竹香の胸が音を立てた。
それって、あれじゃないですか?
結婚の夜に、婿さんが花嫁を運ぶというあれのこと。
「わたし、ここで一緒に寝ていいのですか」
望む、と彼の瞳が訊いた。
もちろん望みますと竹香は大声で言いたいところ、だったけれど、はしたない気がしたので何も言わずに頷いた。
「わたし、重いから、相当練習しなくっちゃ、運べませんよ」
「チーチーの重さは知っている」
「でも、あのパレードの時から、もう何年もたっているから」
「3年だよ」
「考えてみたら、たったの3年」
「そうだね。永遠みたいに、長く感じた時もあったけど、そんなに長くはなかったんだ」
「海辺の村に行ったら、毎日、散歩をしましょう。そしたら、足も強くなるから」
「いいね」
「わたし、治療法を考えて、キャプテンの足を治してみせます」
「ありがとう。チーチーにそう言われたら、治る気になってきた。そのうちに、チーチーを抱いたり、背負ったりできるかもしれない」
「きっとできます。でも、今夜は、わたし、ひとりで歩いて行きます」
竹香は膝から下りて、ドアをあけて、寝台まで歩いてから振り返り、その上にジャンプした。
チーチーらしい、と離山は笑いながら、椅子から立ち上がって部屋にはいってきた。
「でも、ぜったいに、いつかはわたしを抱いて、寝台まで運んでくださいね」
「わかった。運ぶから」
離山が両手を伸ばして、大きく頷いた。