次の世界でも、私を探してくださいね。

54

「もっと約束をして」
 竹香はそう言いながら、寝落ちしてしまったらしい。目をさました時、そばに冬氷はいなかった。

さっきまでここにいた人がもういない。愛する人がもうここにはいない。それを思うと、悲しさや空しさを通りすぎて、身体中が抜け殻になりそうだ。

 こんなに会いたいという何よりも確かな気持ちはあるのに、その人がもういないのだ。キャプテンがいない。
 竹香は空しすぎて、泣いてしまう。
 でも、わたしには、次に会えるという約束がある。

 竹香は言ってみる。この別れはかりそめ、この別れはかりそめ、と。
「この世界は序の口だ。人生は次から始まるんだぞ」
 と言った永剣の声が聞こえる。
 そう。だから、これは一時の別れで、次の世界でまた会える。絶対に会える。

 キャプテンはうまく次の世界に行けたのかしら。次の世界では、もう痛みというもがなくて、ちゃんと歩けていますように。
 そう思うと、少しは救われる。

 竹香は自分の髪の毛に触れてみる。
 彼がしばってくれた組紐は、しっかりとついている。
 彼の腕につけた三日月を思い出してみる。ぜったいに、忘れない。

 経験したことのない心臓の高なりを感じる。
 いよいよわたしが行く番なのかしら。
 竹香は祈るように手を合わせながら、目を閉じる。
 わたしも、ちゃんと次の世界へ行けますように。彼と同じ世界に到達しますように。
 
 そして、キャプテンと会えますように。


              了
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