終着駅のワンナイトは終わらない〜策士なイメチェン元後輩(一見ワンコ)の執着に囚われました〜【一話から】
*
「なにそいつ。かなりの後輩のくせして生意気にも程があるでしょ」
「まあでもうちの課で売上は上げてるから。口も上手いし部長の覚えも悪くはないし……ネチネチ言う私が目の敵なんじゃない?」
「先輩の金言をありがたがれないのか!ってウチらは散々怒られたのに」
「今は若手が辞めないように配慮する時代らしいよ」
課長の受け売りだが、さらに今の新卒なんてもっともっと褒めて気遣って伸ばさないといけないらしい。
「はぁーあ、たったの十年でそんなに変わる?あ、その瀬南ってやつは……五年差か」
「個体差ってやつかもしれないけどね。一人でできないって自信がなさすぎる方が問題だよ」
課は違うが同じ部署にいるもっと年下の子達を思い出して首を振る。採用どうなってるの、人事!と周りが怒り狂っていた。別の部署の子を見ているとやはり個体差が大きいけれど。
人はガンガン辞めるし、中途採用も多くて製品のことはわからないし、数年ごとに入れ替わる派遣も多いし、社内すら人間関係は希薄で気を遣って正直面倒くさい。
マネージャーなんて、そんなもの、何が楽しいのかわからない。でも、会社に期待されているのは、「女の」マネージャーだ。
「辞めないよね?雪那」
「……今のところはね」
「あのさ、スタートアップなんてやめときなよ。はっきり言うと、正直さあ、恋愛感情利用してヘッドハンティングしようとしてる風にしか見えないし。ロマンス投資詐欺、マンション買わせるみたいなものだよ。面食いの雪那がイケメンって言う年下男が年上女にそこまで夢中になる理由ないと思うよ」
「そうだよねえ」
雪那はどこぞの脱力系マスコットキャラのようにグデンとしたまま、俯いた。
浮かれていた気分にヒヤッと水を刺されるが、客観的に見える景色がわかって助かる。
本当、雪那は男を見る目がないのだ。
経験則でいくとハイスペック玲司は、とんでもない地雷だろう。
「そういえば大和が会社をクビになった……とかないよね?」
「え?情報に疎い雪那が元彼の動向に詳しい?流石に五年も付き合ってたら情も湧くか」
秒も大和のその後に興味を持っていなかった雪那は口を閉じた。薄情者と言われるならそのとおりで、単に玲司のハッタリをまさかと思って聞いただけとは言えない。
「急にオンラインカジノにはまって会社のお金にまで手をつけたらしいよ。警察沙汰にもなったみたい。ギャンブルって怖いね」
「……本当に?」
「うん。人相も変わっちゃったって聞いた。雪那、泥沼になる前に別れて良かったね」
ゾッとした。腹が立った相手ではあったが、そんな結末を迎えて欲しいわけではなかった。昔のおとなしそうな大和からは全然想像もつかない。やはり雪那には男を見る目がまるでないのかもしれない。
「とにかく怪しげなイケメンハイスペはもう会うのをやめておきなよ。沼にハマる前にちゃんと断りなって。この年で不相応な年下と付き合うってさあ、ちょっとイタいよ?」
「…………そうだね」
友人からの忠告を受けて、雪那は少しためらったあと、深く頷いた。
「なにそいつ。かなりの後輩のくせして生意気にも程があるでしょ」
「まあでもうちの課で売上は上げてるから。口も上手いし部長の覚えも悪くはないし……ネチネチ言う私が目の敵なんじゃない?」
「先輩の金言をありがたがれないのか!ってウチらは散々怒られたのに」
「今は若手が辞めないように配慮する時代らしいよ」
課長の受け売りだが、さらに今の新卒なんてもっともっと褒めて気遣って伸ばさないといけないらしい。
「はぁーあ、たったの十年でそんなに変わる?あ、その瀬南ってやつは……五年差か」
「個体差ってやつかもしれないけどね。一人でできないって自信がなさすぎる方が問題だよ」
課は違うが同じ部署にいるもっと年下の子達を思い出して首を振る。採用どうなってるの、人事!と周りが怒り狂っていた。別の部署の子を見ているとやはり個体差が大きいけれど。
人はガンガン辞めるし、中途採用も多くて製品のことはわからないし、数年ごとに入れ替わる派遣も多いし、社内すら人間関係は希薄で気を遣って正直面倒くさい。
マネージャーなんて、そんなもの、何が楽しいのかわからない。でも、会社に期待されているのは、「女の」マネージャーだ。
「辞めないよね?雪那」
「……今のところはね」
「あのさ、スタートアップなんてやめときなよ。はっきり言うと、正直さあ、恋愛感情利用してヘッドハンティングしようとしてる風にしか見えないし。ロマンス投資詐欺、マンション買わせるみたいなものだよ。面食いの雪那がイケメンって言う年下男が年上女にそこまで夢中になる理由ないと思うよ」
「そうだよねえ」
雪那はどこぞの脱力系マスコットキャラのようにグデンとしたまま、俯いた。
浮かれていた気分にヒヤッと水を刺されるが、客観的に見える景色がわかって助かる。
本当、雪那は男を見る目がないのだ。
経験則でいくとハイスペック玲司は、とんでもない地雷だろう。
「そういえば大和が会社をクビになった……とかないよね?」
「え?情報に疎い雪那が元彼の動向に詳しい?流石に五年も付き合ってたら情も湧くか」
秒も大和のその後に興味を持っていなかった雪那は口を閉じた。薄情者と言われるならそのとおりで、単に玲司のハッタリをまさかと思って聞いただけとは言えない。
「急にオンラインカジノにはまって会社のお金にまで手をつけたらしいよ。警察沙汰にもなったみたい。ギャンブルって怖いね」
「……本当に?」
「うん。人相も変わっちゃったって聞いた。雪那、泥沼になる前に別れて良かったね」
ゾッとした。腹が立った相手ではあったが、そんな結末を迎えて欲しいわけではなかった。昔のおとなしそうな大和からは全然想像もつかない。やはり雪那には男を見る目がまるでないのかもしれない。
「とにかく怪しげなイケメンハイスペはもう会うのをやめておきなよ。沼にハマる前にちゃんと断りなって。この年で不相応な年下と付き合うってさあ、ちょっとイタいよ?」
「…………そうだね」
友人からの忠告を受けて、雪那は少しためらったあと、深く頷いた。
