喪失騎士エルディーテの冥界追想録 〜 孤独な騎士の過去を辿る、運命を覆す相互救済ロマンス~
奪い取った権利
「なんでもある」と告げたケルベロスの言葉と同時に現れた白い邸は、蜃気楼の如く不安定に揺れて見えた。
まるで触れたら消えそうな、そんな雰囲気を纏っている。
しかしエルディーテが近いて扉の取手に手を伸ばせば容易に掴めた。
不可解な現象だが、ここは冥府への入り口。
考えてみれば何が起きても不思議ではないのだ。
ごくり、と生唾を飲んでエルディーテは足を踏み入れる。
中をぐるりと見渡しながら、家を出る前の晩に交わした弟との会話を思い出す。
きっと冥界の噂を打ち明けられなければ、今ここに立っていたのはエルディーテでなく弟のディアンだっただろう。
――勝手をしてすまない、ディアン。
心の内で呟きながら、エルディーテは先へと進む。
謝罪の言葉が生まれたのは、冥府の入り口の噂を聞きつけたのはディアンだったからだ。
重々しく話を切り出した弟の決意を裏切って、エルディーテは今ここにいる。
まるで触れたら消えそうな、そんな雰囲気を纏っている。
しかしエルディーテが近いて扉の取手に手を伸ばせば容易に掴めた。
不可解な現象だが、ここは冥府への入り口。
考えてみれば何が起きても不思議ではないのだ。
ごくり、と生唾を飲んでエルディーテは足を踏み入れる。
中をぐるりと見渡しながら、家を出る前の晩に交わした弟との会話を思い出す。
きっと冥界の噂を打ち明けられなければ、今ここに立っていたのはエルディーテでなく弟のディアンだっただろう。
――勝手をしてすまない、ディアン。
心の内で呟きながら、エルディーテは先へと進む。
謝罪の言葉が生まれたのは、冥府の入り口の噂を聞きつけたのはディアンだったからだ。
重々しく話を切り出した弟の決意を裏切って、エルディーテは今ここにいる。