喪失騎士エルディーテの冥界追想録 〜 孤独な騎士の過去を辿る、運命を覆す相互救済ロマンス~
「――君にそそのかされ、ハンナ嬢が丸め込まれるのではないか心配でね。幼馴染想いの優しい女性だから」
スナイプ家はレイヴンが現れることを知っていたのか止めることなく二人が話していた応接室への侵入を許可していた。
レイヴンの背後にはスナイプ男爵家の当主と夫人、そして兄らしき人物らが居る。
「レニー様……ありがとうございます」
ハンナはレイヴンが現れると瞳を輝かせて立ち上がり、オルディスの手を退け彼らの後ろへと控えた。
その頬がほんのりと赤らんでいる。
「どういう事ですか……」
オルディスは信じられないものを見る目をしていた。
そしてエルディーテもまた、同じ瞳を向ける。
「――オルディス。レニー殿は我が愚息の暴走がのちにスナイプ家を破滅すると忠告してくださったんだ」
「破滅?何を馬鹿なことを仰るんですか。きっと彼に何か吹き込まれたのですよね」
家族の顔色を気にしながらオルディスが問う。
すると夫人は視線を逸らし、父親や兄らは表情を険しくさせた。
「失礼な発言は止めろ。お前の騎士団内の評判を旧友から確認したが、酷いものだったぞ。婚約が破談になるのも無理はない」
「兄さんまで……」
「お前は何をしに騎士になった?意見の食い違いで暴力をふるうなど騎士道にあるまじき行為を繰り返すとは信じられない。失望したぞ」
「待ってください。なぜ彼を信じるのですか……私は家族でしょう!?」
スナイプ家は家族であるはずのオルディスを責めていた。それも本人の言い訳も聞かずに。
「証言まである。家族なら家を第一に考えろ。レイヴン公爵からも釘をさされたんだぞ。恥をかかせないでくれオルディス。これを機会に態度を改めろ」
父親が言った。おそらくは本心からレニー・レイヴンを信用しているわけではないのだろう。
社交界で評判は死活問題だ。
スナイプ家としてオルディスを擁護するには公爵家は相手が悪い。
このレニーの気を諫めるには迎合するしかない、といったところか。
その事はおそらくオルディス自身も気付いているだろう。
視線を落としたままオルディスは考えあぐねるように黙り込んでいた。
しかし……――――
スナイプ家はレイヴンが現れることを知っていたのか止めることなく二人が話していた応接室への侵入を許可していた。
レイヴンの背後にはスナイプ男爵家の当主と夫人、そして兄らしき人物らが居る。
「レニー様……ありがとうございます」
ハンナはレイヴンが現れると瞳を輝かせて立ち上がり、オルディスの手を退け彼らの後ろへと控えた。
その頬がほんのりと赤らんでいる。
「どういう事ですか……」
オルディスは信じられないものを見る目をしていた。
そしてエルディーテもまた、同じ瞳を向ける。
「――オルディス。レニー殿は我が愚息の暴走がのちにスナイプ家を破滅すると忠告してくださったんだ」
「破滅?何を馬鹿なことを仰るんですか。きっと彼に何か吹き込まれたのですよね」
家族の顔色を気にしながらオルディスが問う。
すると夫人は視線を逸らし、父親や兄らは表情を険しくさせた。
「失礼な発言は止めろ。お前の騎士団内の評判を旧友から確認したが、酷いものだったぞ。婚約が破談になるのも無理はない」
「兄さんまで……」
「お前は何をしに騎士になった?意見の食い違いで暴力をふるうなど騎士道にあるまじき行為を繰り返すとは信じられない。失望したぞ」
「待ってください。なぜ彼を信じるのですか……私は家族でしょう!?」
スナイプ家は家族であるはずのオルディスを責めていた。それも本人の言い訳も聞かずに。
「証言まである。家族なら家を第一に考えろ。レイヴン公爵からも釘をさされたんだぞ。恥をかかせないでくれオルディス。これを機会に態度を改めろ」
父親が言った。おそらくは本心からレニー・レイヴンを信用しているわけではないのだろう。
社交界で評判は死活問題だ。
スナイプ家としてオルディスを擁護するには公爵家は相手が悪い。
このレニーの気を諫めるには迎合するしかない、といったところか。
その事はおそらくオルディス自身も気付いているだろう。
視線を落としたままオルディスは考えあぐねるように黙り込んでいた。
しかし……――――