偽りの無い貴方を助けたくて



たんっと、真っ赤に日光を注ぐ太陽に背を向け、廊下の階段を私は天使が地上におりたつ様にゆっくりと1段ずつ下る。


かくにも。


慎重に階段の幅に気を吸い取られるように気を配っているのは、三十人分の数学ノートを運んでいるからだ。


数学担当に任され、はや一ヶ月。


ーーーやはり晴海先生は3週間に一回のペースで生徒達に自習をさせている。



私はいつもモヤモヤしていて、気がかりなことばかり考えていた。


晴海先生は、高頻度で生徒に自習をさせてーー授業に顔を出さないんだろうって、思う日々は膨らんでしまうのだ。


たんっ、と終止符を打つように足が止まった。



ふとそれは、目線が泳いだ先にあったーー川辺にある不思議な石をぽつんと見つけたかのようなあの不意な感触だった。


廊下の小窓の左下。



生徒指導室の隙間から薄暗く、闇がじくじくと漂う空間から晴海先生と噂の女校長が向かい合い佇んでいた。




確か二人は、愛する人を各自所有している。


その女校長の目は何処か、純粋無欠である晴海先生品定めするようなーーー。


小学生の子供が下品な言葉で罵っていやらしい揶揄を見せつけているーー。


そんな空気が鼻の奥底に届いて、胃がキリキリとしたときだった。



あ……触れた。



最初は、ふとそう思った。



瞬時に、理解が難しかったが触れたと分かったのは互いの言葉と言葉を紡ぐーーー人体の一部。



それは愛する人同士以外は、絶対に触れてはいけない領域。


二人は、欲望を吸い出すように貪っていたのを見て一言、「気持ち悪い」という表現が第一に思い浮かんだ。



だけども、晴海先生は絶対にそんな事をする人ではない。


そう謎の確信があってからかは分からないが、手をかざしたかと思えば私はシャッターを押していた。



この場で逃げ出すことも出来たであろう。



だけども、これは二人のためにはならない何食わぬ顔で職員室に向かって、ノートをおいて教室へ向かった。


親友であるはっきり物申す、希は一言。



「アンタ、知らなかったの?


この学校では、もう、その事知られてるよ?」



と、言われて。





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