独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 この際、いつものあれもやめてもらおうと付け加えるように呟く。
「……噛むのも」
「うっ……」
 翼はそれを言われると思っていなかったのか体を小さく震わせた。
 美咲はじーっと翼を見つめる。
 その視線に負けたように「しない……」と翼は自信なさげに呟いた。

「ふふっ、翼じゃないみたい」
 あはは!と眉を下げて笑う。
 翼は美咲から目が離せなかった。

 美咲の笑顔がいちばん好きな翼は、可愛い姿に思わず美咲の手を握る。

「噛まない、だから」

 そっと美咲の手の甲に唇が触れてチュ……とリップ音が控えめに鳴った。
「代わりにこれなら、許してくれるか……?」
「えっ?!」
 
 翼は手を握ったままじっと美咲を見つめ続け、『お願いだ』と言っていないのに思っているのがわかってしまう。
 長い間、噛まれ続けていた美咲の感覚は麻痺していたのか、噛まないなら……触れる、それくらいならと翼に許可を出してしまった。

 そのくらいなら……と出した許可が噛み跡よりも激しく美咲を翻弄していく。
 
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