独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
第9話 独占欲の形
休み明けの大学、由紀は講義室で座ったまま翼の話を聞いていた。
美咲と仲直りできたことで幸せ気分に浸っている翼に呆れ果てる。
「は?それでご機嫌なわけ?」
「なんだよ、悪いかよ」
由紀は翼の能天気さにため息を吐いた。
「それで?優斗との問題は解決したの?」
すっかり優斗のことを忘れていた翼の顔がどんどん青ざめていく。
由紀は本当に忘れてたのかと呆れてものも言えない。
「ばっ……本当に、頭の中美咲のことしか考えてないば……」
これ以上言うとめんどくさい事をわかっている由紀は口を閉じた。
なんで佐藤翼というこの男はここまで抜けているのか。
もっと計算高く動けていたなら優斗ももっと早く動けていたかもしれないのに。
「来週、優斗とデートなんでしょ美咲」
本当は妹の誕生日プレゼントを買うためと美咲から聞いている由紀。
ここでそれを翼に教えてやる気はなかった。
由紀はどうしたらいいのか悩みすぎて固まる翼を無視して荷物をまとめ、立ち上がる。
「まぁ、邪魔しないでって言われたなら邪魔しないで大人しくしていたほうが美咲に嫌われないんじゃない?」
幸せ気分だった翼へ冷水をかけるかのように冷たく突き放し、由紀はその場を去っていった。