独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *


 急いでなんとか着いたのは19時。
 ライブハウスへと続く階段を下る。
 扉の向こうから内蔵にまで届くような低い音が漏れるように通路に響いていた。

「あれ、翼くん」
「松田さん、入っていいすか?」
「チケットある?」
 翼は手に持っていたチケットを松田に渡した。
「翼くんもくるなんて、君たちほんと仲がいいね。優斗くんは出番次だし美咲ちゃんはもう来てるよ」
 
 ……やっぱりここに美咲がいる。
 
 翼はドリンクチケットを受け取って扉を開けた。
 演奏中のハウス内は暗く、客席側の顔はほとんど見えない。
 前の方に人が集まっていて後ろは少し空いているが美咲は見当たらなかった。

(美咲は前の方か……)

 割り込んでいくわけにもいかず、今の演奏が落ち着くまでその場で待つ。
 よく見ると今ステージにいるのは将吾の所属するバンドだった。

 翼は待ちながら暗闇で眼を凝らす。
 美咲がどこかにいるはずだ、と探し続けた。
 そうしていると将吾たちの番が終わりステージの端へとはけていく。
 前に密集していた客も数人移動を始め、探しやすくなった。

(美咲……いた!)
< 62 / 104 >

この作品をシェア

pagetop