独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 コンビニはスタジオから出てすぐ隣にある。
 行く前に買うのを忘れてしまった飲み物。
 何も飲まずに何時間も過ごしていた美咲の喉はカラカラだった。
(お茶……いや、ミルクティーにしようかな、んーでも……)
 今日はなにを飲もうか、悩みながら店内に入る。
 店内を歩いていると後ろから人の気配を感じて振り返る。
「お茶?いつものミルクティー?」
 後から来た優斗は美咲の思考を読んだように言い当てた。

「なんでわかったの?!」
「今日は飲み物飲んでないなって思ってたから」
 美咲は眉をあげ、驚いたように目をぱちぱちさせる。
 優斗の観察力にはいつも驚かされてばかりだった。
 
「本当よく気付くよね。この前、私がお腹痛くて我慢してた時もすぐに気づいて薬くれたし」
 ペットボトルのショーケースからお気に入りのミルクティーを取り出す。
 優斗は「美咲のことを高校の時から見てるからね」とショーケースを開けてお茶を取った。

 彼の言葉に納得して笑う。
「あはは、それもそうだね」
 仲良くなってから一緒に遊ぶことも多かった。
 自然と相手の好みや癖も覚えてしまうこともある。
 
 商品を見ているとなんとなくラムネも買いたくなって、おもむろにお菓子コーナーに進んで目当てのラムネを探し始める。
 彼女の好きなラムネは棚の一番下にあった。
 しゃがんでパッケージを選ぶ。
 その姿を後ろで見つめていた優斗はふと、翼の牽制を思い出した。
 
 ほんの出来心だった。
 
 いつもより距離を詰めて近づき、美咲の真隣にしゃがみこむ。
 ラムネを真剣に選ぶ美咲はコロコロ表情が変わって面白い。
 (……可愛い)
 優斗の視線に気付いた彼女は「ラムネいる?」と微笑み、彼に聞く。
 もう翼にはバレてしまった、ならもう大人しくしている意味もない。
 
「ねぇ、美咲」
「ん?」
「俺とデートしない?」
 
 雑然としたコンビニの店内で、優斗の声だけが不思議とクリアに聞こえた。
 
(………………)

「……はい?」
 
 今、優斗はなんと言ったのか。
 美咲は衝撃でラムネを床に落とした。
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