こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 彼女はきちんと見極めて絞ったのだ。
 自分は傲慢だった。あれもこれもやろうとして、集中できなくて結局は身につかなくて。編み物の経験があるから大丈夫とたかをくくっていたせいもある。
 帰ってすぐ、コーヒーを淹れる。
 これだけは褒めてもらえた。唯一の心の救いだ。
 テーブルにカップを置こうとしたとき、手がすべってばしゃっとこぼれてしまった。
「もう……!」
 彩羅はすぐにタオルを持ってくるが、慌てていたのでテーブルの花瓶にぶつかった。万葉のくれた編み物のブーケが倒れ、一輪がコーヒーにダイブする。
「嘘……!」
 救出して水で洗う。が、うっすらと茶色が残っている。
「洗濯で落ちるかなあ……」
 彩羅はため息をつき、テーブルの上を片付けた。

***

 月菜は上機嫌でスマホを見ていた。
 慶太から編み物対決は大好評だったと聞いた。ならば万葉は自分にすごく恩を感じているはずだ。
「お礼に高いレストランでおごってもらって……そうしたらもう専務を落としたも同然だわ」
 キングの前では冷たくされたけど、あれは人前だからに違いない。ふたりきりになったらこっちのもの。前は彩羅との仲を引き裂きたいと思ったけど、そんなことするまでもなかった。
「今までの失礼の分、バッグでも買ってもらおうかな」
 ブランドの中でもエルネスは特にお気に入りだ。
 月菜は上機嫌でブランドのサイトを見始めた。
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