こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 月菜がこちらを覗いてにやあっと笑うのが見えた。彼女が慶太を呼び寄せ、彼は外回りのふりをして来店したのかもしれない。
「拓ちゃーん、カスハラー! って電話中じゃん!」
 マリリンの声に、拓斗が片手で謝るしぐさを見せる。

「お前は関係ないだろ」
 慶太がマリリンにすごむから、彩羅はかばうように前に出た。自然と入り口を背にする形になる。

「彼女にからまないで。話があるのは私でしょ?」
「いい人ぶりやがって。頭の悪いギャルを手懐けて手下にしてるって本当だったんだな。嘘ついて男をだましたり、本当にお前は女の腐った部分の寄せ集めだな」

「だったらお前は男らしいのか?」
 突如として割って入った声に、彩羅はびくっとして振り返った。
 いつの間に来たのか、万葉がいた。

「女性を衆目の前で罵倒するのが男のすることか? 恥を知れ」
 鋭い目で射貫かれ、慶太はたじろぐ。が、すぐにきっとにらみ返す。

「お前誰だよ」
「糸条万葉だ」

「糸条……え?」
「営業の岸山慶太だな。専務の顔を知らないのか」

「いえ、あの」
 慶太の顔からいっきに血の気が引いた。

「女性を面罵するのが男らしさとは初めて知った。うちの営業は博識だ」
「いえ、あの……俺の彼女を、こいつがいじめていたので」
「証拠は?」
「えっ」
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