【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
「うん、もう離れない。私を選んでくれて、ありがとう理人くん」
もしも理人の願いをなんでも一つだけ叶えてあげられる神様がいるとしたら、理人は考える間もなく言うだろう。
それはお金や名誉、地位や権力なんかじゃない。
『悠里ちゃんとずっと一緒にいられるようにしてください』
ただ、それだけを切に願うのだ──。
「理人くん、心臓……すごく鳴ってる」
「なっ!や、やめて聞かないで!」
「ちょっと心配なくらいドキドキしてるんだけど、大丈夫?」
「大丈夫、じゃないよ……っ。俺、悠里ちゃんには結婚拒否されても一生アタックするとか言ったけど、本当は二、三回心が折れるだろうし、どうしようアタックってどうやってするんだっけって本気で悩んでたんだからね!?」
どんなに格好いいことを言っても、やっぱり最後は理人らしいこの展開に悠里は大きな声で笑った。
悠里の新居に、初めての笑いが生まれた日だった。
「ずっと愛してるよ、悠里ちゃん。これからの十年も、その先もずっと……俺の隣で笑っていてね」
「私も、理人くんのことが大好きだよ。これからどんな選択肢が出てこようとも、ずっと私を選んでね」
そう言って誓いのように落とされた甘く優しいキスは、これまで重ねてきたどんなキスよりも甘くて、愛おしくて、優しかった。
それはお互いの寂しさや心の傷を完全に溶かしていった。