【1章だけ大賞長編用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。





***



 「じゃあ先に行ってくるね」

 「いってらっしゃい、理人くん」

 「……っ」

 「な、なんでそんな顔真っ赤なの!?」

 「……だって悠里ちゃんに行ってらっしゃいって言われる人生って、贅沢すぎるっていうか、想像すらしてなかったから……やばい泣くかも」

 「な、何言ってんの大袈裟!」

 「ごめん、行ってきます……」



 スーツ姿の王子様は、今日も悠里の前ではその仮面が外れてしまう。

 週明けの月曜日は会議やミーティングが朝早くから続く理人は、悠里よりも先に職場へ向かった。




 「私も準備しなきゃ」

 洗面所へ向かってヘアアイロンのスイッチを入れたとき。




 ポケットに入れていたスマホが一件のメッセージを受信した。

 画面をタップすると、そこに表示されたのは【裕一さん】の文字。




 「……え?」

 恐る恐るそのメッセージをタップする。




 【裕一:悠里、僕のマンションから出ていったの?家は借りられた?】

 【裕一:あの家はまだ悠里のものだよ。いつでも帰ってきていいから】

 【裕一:もう、僕のことは嫌いになった?】
 



 そのメッセージを読んで、悠里はひどく顔を歪めた。







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