聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 魔王と決着がつき、ウィラルドはわずかに白く光るエドワルドの聖剣を拾うとマリーがウィラルドの元へ駆け寄る。
 「マリー」
 ウィラルドはマリーに気づき、安心した明るい表情でマリーの名前を呼ぶ。
 「ウィラルド様……。ウィラルド様が無事でよかった」
 マリーは瞳を潤ませてウィラルドが無事だった事を喜ぶ。
 ウィラルドはマリーの頭を優しく撫でる。
 「俺ひとりでは魔王に倒されていた。エドワルド様がいてくれたおかげだ」
 ウィラルドは白い光が落ち着いた聖剣に感謝を込めて見つめ、鞘に収めて背負うと光は止んだ。
 「マリー。さっきの力は何だ? それと、俺の聖剣がーー」
 ウィラルドはマリーの聖女の力だという事以外は何も分からず、今は光っていない自分の聖剣をマリーへ見せる。
 ウィラルドの聖剣に付いているオパールは白ではなくピンクに変わり、遊色効果によってピンクのバラが見える。
 「オパールがピンクになってる。わたしも何も分からないわ」
 マリーも検討がつかないでいると、セレスティナが二人の話しに入る。
 「マリー独自の聖女の力です」
 マリーとウィラルドはセレスティナの話しに耳を傾ける。
 「聖女の力は授かった人間の特性で変化します。アンナの生まれ変わりのマリーも例外ではなかったようですね。アンナの純潔は境界線を張り、マリーの慈愛は瞬間的な治癒能力で魔王へ情けをかけて助けました」
 「わたしにそんな力がーー」
 マリーは今は光っていない、自分の手の甲を見つめる。
 今まで白く光っていたが、あの瞬間はピンクに光っていたように感じる。
 「マリーとウィラルドの信頼の絆です。この戦いにより、開花したのでしょう」
 「わたしとウィラルド様の信頼の絆ーー。嬉しいです!」
 マリーはウィラルドを見上げて嬉しそうに微笑み、二人は見つめ合う。
 マリーとウィラルドが見つめ合っていると、魔王がマリーの名前を呼ぶ。
 「マリー」
 ウィラルドがマリーの前に出るが、魔王は何もせずにそのまま話し始める。
 「聖女の力が戻ればまた教会に奉仕し、力を搾取されるだろう。お前の運命は決まっている」
 「え……?」
 マリーは魔王の言葉に固まる。
 マリーが聖女に戻れば、厳しい教派であるストリクト教派に再び所属する事になる。ストリクト教派は生涯を通して神へ奉仕するため、恋愛や婚姻が認められていない。
 アンナとエドワルドのように、マリーとウィラルドも結ばれずに生涯を終える事になる。
 マリーの意志は決まっている。聖女に戻るつもりはない。
 (わたしは、ウィラルド様とーー)
 誰のためでもない。
 マリー自身がウィラルドと結ばれたいと強く願っている。
 「お前は運命を変えられるか? 天使の迎えは近いぞ」
 魔王は赤ちゃんドラゴンを抱えながら大聖女セレスティナを一瞥し、親ドラゴンの背に乗って飛び立って姿を消した。
 セレスティナは表情を変えずに、姿を消す魔王を静観しているだけだった。

 魔王が去り、広場に集まっている人々が安堵していると、この国の大司教がマリーの元へやってきた。
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