聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 「はあ……」
 アンナは重たく大きな溜め息を吐く。
 アンナは聖女としての生き方しか知らない。
 アンナは幼い頃に両親を事故と病気で亡くし、修道院に引き取られてそのまま修道女になった。
 聖女は一部の修道女しかなれない。
 大聖女伝説に登場する大聖女を信仰する修道女が聖女になれる。
 聖女になってからは大聖女像へ祈ることが主になる。
 アンナはその大聖女を深く信仰しており、聖堂で大聖女像へ祈りを捧げていると聖女の力が高まっていくのを実感していた。
 アンナの聖女の力は強く、他の聖女たちとは比べものにならないほどだった。
 聖女は祈ると右手の手の甲に聖女の紋章が現れる。
 他の聖女は祈ると聖女の紋章が白く弱い光を放つが、アンナの紋章は白く強い光を放っていた。
 アンナはその力でレユスットと魔物討伐へ行く以外は、他の聖女と共に魔物が棲む魔界と人間界の境界線の力が弱まらないように祈りを捧げて効力を保っていた。
 アンナは信じて尽くしてきた唯一のものを失い、思考ができないほど真っ白になった頭では何も考えられなかった。
 何もなくなってしまったアンナは自身がどうなろうとどうでもよかった。
 アンナは応接室前の廊下をとぼとぼと歩いていると、ふと気づいた。
 国外へ行くとなると、レユスットに会えなくなるだろう。
 森に置いていかれたが、迎えに来てくれた事や今まで世話になったレユスットへ別れの挨拶をしようとアンナは応接室へ戻る。
 アンナは応接室の扉を開けるためにノックをしようとすると、その中からレユスットの声が聞こえてきた。
 「まさかアンナが聖女の力を使い果たすとはーー。アイツに魔術をかけすぎたか」
 (え……?)
 アンナは信じられない言葉を聞き、そのまま耳をそばだてる。
 魔術は魔王などから得る力とされており、聖職者や聖女、聖騎士は教会から使用を禁止されている。
 アンナは信じられない言葉を聞いて思考が止まり、その場に固まる。
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