聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 ウィラルドはマリーが持っている何も入っていない買い物カゴに目をとめる。
 「アンナ様は買い物中だったか? 俺にも買い物のお供をさせてくれないか?」
 「嬉しいですが、王太子殿下にお供だなんて……」
 「アンナ様は聖女だろ? 俺は王太子だが、聖騎士だ。聖女様を守るのが務めだ」
 ウィラルドはそう言ってマリーの手から買い物カゴを取り、マリーの手を引いて祭りで賑わう人混みへと連れ出す。
 確かに聖騎士は聖女を守る務めがある。
 マリーはもう聖女ではないため困惑しながら、ウィラルドに手を引かれて頬を染める。

 マリーの買い物が終わり、ウィラルドが買い物カゴを持っている。
 買い物中は村人たちに王太子であるウィラルドが村の市場で買い物をしている事を驚かれていたが、本人は気にしていなかった。
 「王太子殿下、買い物に付き合ってくださってありがとうございました」
 マリーは礼を言って買い物カゴを受け取ろうと思ったが、ウィラルドが先に話し出した。
 「アンナ様は祭りなのにもう帰るのか? まだ何もしていないだろ」
 マリーはウィラルドの言葉を聞いて首を傾げる。
 なぜウィラルドはマリーと祭りを一緒に過ごす事が前提の言い方をするのかと疑問に思う。
 「まだ一緒にいてくださるのですか?」
 マリーは王太子であるウィラルドを付き合わせてはいけないと思い、遠慮して買い物が済んだら帰ろうと思っていた。
 「アンナ様の気が済むまで付き合う」
 「ありがとうございます」
 マリーはウィラルドの申し出に嬉しそうに微笑む。
 本当はもう少しウィラルドと一緒にいたかったマリーは密かに浮かれる。
 ウィラルドはマリーの笑った顔を見て安心したように微笑む。
 「本当に元気になってよかった」
 「え?」
 「独り言だ、気にするな」
 マリーが聞き返すとウィラルドは答えをはぐらかす。
 マリーは助けてくれたとはいえ、なぜウィラルドが自分を気に掛けてくれるのか疑問だった。
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