聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 再び祭りで賑わう市場を歩いていると、先程と同じく村人たちが驚いた様子を見せて道を開けていく。
 マリーは買い物をしている時にも見た光景を思い出す。
 そして村人たちの話している事が再び耳に入る。
 ウィラルドは”白馬に乗った冷酷聖騎士”と人々から呼ばれているらしい。
 ウィラルドは王太子だが、世間では聖騎士としての印象が強い。
 聖騎士のウィラルドは討伐が困難な魔物も一人で簡単に容赦なく倒している。
 ウィラルドがあまりにも強すぎるのと本人に愛想がなく、畏怖の念を抱かれて人々にそう呼ばれている。
 「どうした?」
 マリーがウィラルドをじっと見上げていると、ウィラルドがマリーと目を合わせて尋ねる。
 「聖騎士王太子殿下……。いえ、何でもありません」
 「周りはそう呼んでいるな。名前で呼んでくれると嬉しいが、アンナ様の好きに呼んでくれ」
 「では、ウィラルド様でいいですか? わたしのこともアンナではなくてーー」
 マリーが言いかけると、突然マリーとウィラルドが歩いている方向とは逆の人混みにマリーが流されそうになる。
 「きゃあっ!」
 ウィラルドはマリーの手を掴んで自分のそばに引き寄せる。
 「俺のそばにいろ」
 マリーはウィラルドと抱きしめられる距離になり、鼓動を激しくする。
 「はい」
 マリーは初めての距離に何も考えられず、ウィラルドの腕の中で返事をした。
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