聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 ウィラルドのペガサスで魔物が出現する森を飛び、何ヶ所かの領地を越えると、あっという間に王都へやってきた。
 マリーとウィラルドは王都の中心部の人目の付かない所でペガサスから降りる。ペガサスは二人を降ろし、翼を消して白馬に戻る。
 マリーとウィラルドはペガサスをその場に待たせて広場へ向かった。

 マリーとウィラルドは城下町の広場へやってきた。
 夕陽が差し込む王都の城下町は芸術的な建築物が建ち並び、荘厳で洗練されている。
 城下町は、まるで一枚の名画のように美しい街並みになっている。
 ウィラルドの国は芸術活動が盛んに行われている。
 音楽、絵画、彫刻と幅広く行われているが、その中でも演劇はどの国よりも盛んに行われている。
 マリーは楽しそうに広場を見渡して感嘆する。
 「とっても賑やかね! すごく楽しいわ!」
 バイオリンやギター演奏、移動式手回しオルゴールが広場を活気に溢れてせている。
 マリーがいた国と建築物や文化が似ているが雰囲気が違い、マリーにとって新鮮だった。
 ウィラルドは子供のように好奇心に溢れたマリーを優しい眼差しで見つめている。

 マリーとウィラルドは広場でハンナから渡されたメモを確認する。
 「これが妹さん、ヘレナさんの名前と年齢と所属している劇団名ね。二十歳なのね。ヘレナさんはわたしより二歳年上ね。ウィラルド様、歌劇ってどんなものかしら」
 「マリーは歌劇を見たことはないのか?」
 「見たことがないわ。ヘレナさんがどんなことをしているのか楽しみ!」
 マリーは歌劇を全く知らないため、ウィラルドから歌劇をどんなものか聞いたが、想像ができなかった。
 マリーは子供のように胸を躍らせている。
 マリーは想像がつかない事を行っているヘレナに早く会いたかった。
 ウィラルドはメモの劇団名に視線を落とす。
 「この劇団ーー」
 ウィラルドが呟くとマリーも劇団名に視線を落とす。
 「俺はこの王立歌劇団の初日を公務で観劇した。あの中にいたのか」
 「ウィラルド様はもう妹さんにお会いしていたのね」
 「悪いが覚えていない。大勢が登場する場面にいたのだろう」
 ウィラルドは主演や役名が付いている役者は覚えているが、役名が付いていない役者までは覚えていなかった。
 「そういうものなのね」
 妹のヘレナへ会う手がかりは名前、年齢、王立歌劇団だけだ。
 マリーとウィラルドは手がかりとなる歌劇団を尋ねようと足を進めると、ヘレナと同じ名前が男性によって叫ばれる。
 「ヘレナちゃん!」
 マリーとウィラルドは足を止めて男性の声のする先へ視線を向けると、若い男女数名が広場で即興歌劇をしている。
 「ウィラルド様、いまヘレナちゃんって聞こえましたよね?」
 「やっているのは歌劇だな。確認するか」
 マリーとウィラルドはヘレナがいると思われる即興歌劇を少し離れた場所から観劇する。
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