聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーがヘレナと出会って数日が過ぎたある日、ヘレナがマリーを訪ねて王城へやってきた。
 ヘレナは王城の豪華な応接室に通され、マリーとウィラルドが横に並び、ヘレナはマリーの正面に座っている。
 ヘレナはこの状況を確認するためにウィラルドへ質問する。
 「なんで聖騎士王太子殿下もいるの?」
 呼び出したのはマリーだけのはずだが、ヘレナはなぜウィラルドもマリーと一緒にここへ来たのか疑問に思って尋ねる。
 「パートナーの聖騎士と聖女が一緒にいるのは当然だろう」
 ウィラルドは至極当然のようにヘレナに言う。
 ウィラルドはマリーと執務を行っていた所をマリーがヘレナに呼び出されたため、一緒についてきた。
 「わかったわよ、聖騎士王太子殿下はマリーちゃんと一緒にいたいのね。あのね、マリーちゃん。お願いがあるの。聞いて!」
 「どうしたのですか?」
 ヘレナは話し出そうとすると、肝心な名前をど忘れしてしまった。
 「あー、名前何だっけ。確か聖騎士団長って人にお茶に誘われて、気がついたら約束してたの。だからマリーちゃんに一緒について来てほしいの」
 「わたしが一緒だとお邪魔ではないの?」
 「今は歌劇に集中したいし、男性と会う時間を作れないの。また気づいたら約束してると困るし……」
 ヘレナは歌劇の若手劇団員として忙しくしているため、同じ劇団員以外の友人はあまりいなかった。
 公演前の劇団員は各々が準備で忙しくしているため、誘う事はできなかった。
 「分かりました。それなら、わたしもご一緒します」
 マリーはヘレナが困っていると思い、協力するために快諾した。
 「マリーちゃん、ありがとう!」
 「聖騎士団長? 彼奴が女性に声をかけるのか?」
 ウィラルドは自分の国の聖騎士団長を思い浮べる。
 大柄な体格をしており、無骨で寡黙な既婚者で妻や子供たちを大事にする家族思いの中年男性だ。
 ウィラルドは騎士団長が女性に声をかけた事が信じられない。
 (そういえばーー)
 ウィラルドはマリーの国の聖騎士団長と数名の部下が討伐協力の依頼の話し合いのためにこの国を訪れる予定になっている事を思い出す。
 噂によると、マリーの国の騎士団長はどこへ行っても気さくに女性へ声をかけている。
 その上、煌びやかで整った容姿をしているため、ウィラルドの国でも噂になるほど人気があることを知っている。
 ウィラルドは嫌な予感がして、ヘレナに申し出る。
 「俺も一緒に行かせてもらおう」
 「助かるわ。こういう時は人数の多い方がいいよね」
 「いつだ?」
 「急で悪いんだけど、明日の午後一時よ」
 「分かった。日程を調整する」
 「こんなに親身になってくれるなんて、白馬に乗った冷酷聖騎士王太子だなんて言われているけど、実は優しいのね!」
 ヘレナは瞳を輝かせて言うと、ウィラルドに即座に否定される。
 「俺はマリーが心配なだけだ」
 ヘレナはウィラルドのその言葉を聞き、半ば呆れた顔と声で言う。
 「あっそう……。マリーちゃんへの優しさね。ハッキリしてて清々しいわ」
 「ウィラルド様、ありがとう」
 マリーは心配してくれたウィラルドが嬉しくて笑顔でお礼を言う。
 「俺はマリーの聖騎士だからな」
 ウィラルドはマリーの笑顔の礼に答えて自身も笑みを作り、当然のように言う。
 (マリーちゃん、嬉しそうに笑ってる。この二人、付き合ってるんだっけ? 冷酷聖騎士に溺愛されるパートナーの聖女、すごすぎる)
 ヘレナは二人だけの世界のように微笑み合うマリーとウィラルドを眺めて、話している途中で出された紅茶を飲み干して王城を後にした。
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