聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 帰りの馬車の中で、マリーはウィラルドにしっかりと手を握られている。
 ウィラルドの温もりを感じて気分が落ち着いてきたマリーはウィラルドへ尋ねる。
 「ウィラルド様。何でウィラルド様はわたしに優しいの?」
 マリーはレユスットとヘレナへの態度を見て自分との違いに驚きと同時に嬉しかったが、疑問だった。
 「マリーだからだ」
 「詳しい理由を教えてください!」
 嬉しい答えだが、マリーは頬を染めてウィラルドへ具体的な理由を求めた。
 「教えて欲しいか?」
 ウィラルドに小声で囁かれ、マリーは静かに頷く。
 陽が落ちてきた馬車内は薄暗くなり、その雰囲気も手伝ってマリーの鼓動が速くなっていく。
 「マリーを見ていると、愛おしい気持ちが溢れてくる。詳しい理由は今度教えてやる。楽しみに待っていろ」
 「今度?」
 マリーはウィラルドを見上げる。
 「今度こういう雰囲気になったらな」
 「どうやって作ればいいの?」
 無知に聞いてくるマリーにウィラルドは優しい笑みを零す。
 「マリーは積極的なんだな」
 ウィラルドはさらにマリーとの距離を詰め、マリーの耳に唇が触れそうな距離で吐息混じりに話す。
 「マリーが俺の部屋を訪ねれば、期待通りの雰囲気になる」
 「考えておきます……」
 マリーは耳にウィラルドの息を感じ、照れて耳まで真っ赤にして耐えられずに俯く。
 「俺も楽しみに待っている」
 ウィラルドはマリーとの距離を元に戻し、笑みを浮かべる。
 (優しいってことは、ウィラルド様はわたしを好きなのかな? 都合良く考えてるのかなぁ。むずかしい……)
 恋愛を知らないマリーはまだ赤い顔でウィラルドを見上げる。
 (ウィラルド様がわたしを好きだったらいいな)
 ウィラルドと目が合うと照れたような嬉しそうな笑みを返す。
 マリーはこの時間がずっと続けばいいなと無意識に思っていた。
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