聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーはウィラルドへ質問をしようか迷っているとウィラルドが手に持っているリーフレットが目に入る。
 座席に置かれていたリーフレットにはキャストや演目が書かれている。
 「ねえ、ウィラルド様は前に公演を観たことがあるのよね。ヘレナさんがどこに出演するか分かる?」
 マリーは後ろを向いて、ウィラルドの顔を見ながらリーフレットを指さす。
 先程ヘレナへ挨拶をした時に役名のない修道女と聞いていた。
 ウィラルドはリーフレットを広げて、ヘレナが出演する演目を探す。
 「ここだ。大聖女アンナ様が仲間の修道女たちに自分の力を分け与える場面だな。この場面なら分かりやすいんじゃないか?」
 ウィラルドがリーフレットの演目を指さす。
 「わかったわ、探してみる。ウィラルド様、ヘレナさんを見つけたら教えてね」
 「マリーの方が見つけられるんじゃないか?」
 「そうかしら? わたし、まだオペラグラスを使いこなせていないわ」
 マリーは手に持っているオペラグラスで遠くにいる観客たちをよく見ようと、オペラグラスを合わせたり外したりしている。
 ウィラルドはマリーを見て穏やかに笑う。
 「俺は歌劇よりも関心のある女性が近くにいるからな」
 「それってーー」
 マリーは顔を赤く染めながらウィラルドを見ていると、開幕が近いことを知らせる鐘が鳴る。
 「あ、もうすぐ開演よね? ヘレナさんを探さなきゃ!」
 マリーは照れてウィラルドの隣で舞台に視線を向けていると、歌劇が始まった。
< 53 / 133 >

この作品をシェア

pagetop