聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 アンナが意識を取り戻して数時間が経った昼過ぎ。
 アンナは水とパンを少量取ってベッドに伏せって目を閉じていると、扉の外で誰かの話し声が聞こえる。
 ハンナと聞いた事がある男性の声がする。
 静かに部屋の扉が開かれると、アンナを置いて行った聖騎士団長、レユスット・オラブルが姿を現す。
 二十一歳のレユスットは背が高く、容姿端麗で華やかさがある。
 髪はサラサラで輝くようなプラチナブロンドをしており、前髪に軽さを出したナチュラルで柔らかい印象のシースルーマッシュをしている。
 瞳は柔和な印象の落ち着いた濃い黄赤のカッパーレッドをしている。
 レユスットはアンナの国、ルヴォア国の聖騎士の衣装を着ており、落ち着きのある赤色のマントを着けている。
 レユスットは嬉しそうに表情を明るくしてアンナのそばへやってくる。
 「アンナ、無事だったのか! ここにいると知らせを聞いて急いでやってきたんだ」
 「…………」
 アンナはレユスットの姿を見て、表情が崩れるのを必死で堪える。
 アンナはレユスットに置いて行かれた時の事を思い出してしまった。
 アンナは討伐対象ではない赤ちゃんドラゴンをレユスットに倒されそうになっていたのを庇っていた。
 レユスットは成長したら国を襲う可能性があるために倒すべきだと言っていたが、アンナは討伐対象ではない無力に等しい赤ちゃんドラゴンが倒されるのを黙って見ていられなかった。
 アンナが赤ちゃんドラゴンを庇っていると、その親と思われる身体が黒く額が赤い成体のドラゴンが現れて咆哮した。
 その時に以前から体力の限界を感じていたアンナはその体調不良の発作で胸を押さえて倒れてしまった。
 レユスットは成体のドラゴンに驚いて発作で倒れたアンナを置いて一人で逃げてしまったが、現在は何食わぬ顔でアンナを迎えにやってきた。
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