聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 アンナはハンナに身体を起こすのを手伝ってもらうとレユスットを見上げる。
 (やっぱり、わたしを助けたのは別の聖騎士の方なのかしら? 誰がわたしを助けてくれたの?)
 手がかりは意識が遠い中で聞いたレユスットの声とは違う、若く低い男性の声と聖騎士という情報だけだ。
 アンナは命の恩人が誰か考えていると、レユスットはマリーの聖女のロザリオをポケットから取り出して見せる。
 「これはアンナのだよね?」
 レユスットは白バラのオパールが輝く、聖女のロザリオをアンナに見せる。
 アンナのロザリオは聖女だけが持つ、特別なロザリオだ。
 そのロザリオで聖女の力の源となっている大聖女へ祈るためのものだ。
 そのロザリオは一般的なロザリオと違い、十字架が剣のようなモチーフになっており、その中央には白いオパールで作られた白バラが付いている。
 「わたしのロザリオ!」
 アンナはレユスットが持つ聖女のロザリオを見ると、自分の胸元に視線を落として手を当てる。
 いつも首から下げている聖女のロザリオがなかった。
 アンナは自分の聖女のロザリオを見るまで、なくしていた事に気づかなかった。
 「部下を連れて戻ると、アンナはいなくなっていて聖女のロザリオだけになっていた。ずっと心配していたんだよ」
 レユスットはアンナへ聖女のロザリオを返す。
 「大切なものなのです。ありがとうございます」
 アンナはレユスットから聖女のロザリオを受け取り、戻ってきた喜びと感謝を胸に優しく両手で握る。
 「あなたは聖女の鑑だな」
 レユスットは聖女の証であるロザリオを大切そうにしているアンナを見て呟く。
 「ありがとうございます。嬉しいですが、もったいないお言葉です」
 アンナはレユスットの褒め言葉に礼を言い、握っている両手を開いて聖女のロザリオを見つめる。
 「アンナ、また僕と共に討伐へ行ってくれるね?」
 レユスットはロザリオを持っているアンナの手を優しく両手で包む。
 アンナはレユスットから視線を逸らし、表情を曇らせて返事をしなかった。
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