聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 「……!!」
 眠っていたマリーはまだ暗い部屋で飛び起きる。
 熟睡していたというのに、汗をかいて激しい鼓動と呼吸を整えるために胸を押さえる。
 マリーは目を見開いて手のひらを見つめる。
 手には白バラを持っていた感覚が残っている。
 「わたしが、大聖女アンナ様なのーー?」
 あまりにもリアルな主観の夢がマリーにそう思わせる。
 マリーはもう一つの感覚を思い出して赤面する。
 「ーーっ!」
 唇に手を当て、エドワルドがそれに触れた時の感覚がハッキリと思い出されていく。
 「アンナ様はエドワルド様の事が好きだったのね」
 (それに、あの時と同じーー。)
 マリーが雪降る冬の森で倒れていた時、唇に感じた感触と同じだった。
 マリーは枕元に置いてある聖女のロザリオを手に取って眺める。
 「この聖女のロザリオーー。大聖女アンナ様とエドワルド様、二人がお互いを想い合っていた証なのね」
 聖剣を十字架に見立て、白バラが付いた聖女のロザリオ。
 ロザリオとしてしか見ていなかったマリーは初めて大聖女アンナとエドワルドの二人を表したロザリオだと気づく。
 「わたしの、大切な聖女のロザリオ……」
 マリーは聖女のロザリオを両手で包み、アンナとエドワルドに思いをはせる。
 「大聖女アンナ様……」
 マリーは想い合っている二人を思うと、自然とウィラルドの事が頭に浮かんでくる。
 「アンナ様、わたしもウィラルド様が好きです」
 マリーの胸の鼓動はアンナと同じ鼓動をしている。
 マリーはアンナと自分の感情を愛おしく思う。
< 77 / 133 >

この作品をシェア

pagetop