聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 ウィラルドはマリーが出かけるのは問題ないが、気がかりな事があった。
 「隣国の境界線の事や、魔王などの力を源とする魔術を使って悪さをする連中も増えてきている。女性だけで行かせるのは心配だ。信頼している部下を護衛に付ける。四人で行ってくるといい」
 マリーに笑顔を見せて言い終えるとウィラルドは再び書類に視線を落として、フィデリックに言葉を投げる。
 「ーーと言う事でよろしく頼む」
 ウィラルドはマリーと話している時の優しく甘い声色から変わり、厳しくぶっきらぼうな普段の声色に変わる。
 「承知しました。……大変な一日になりそう」
 フィデリックは普段のウィラルドに慣れているため不満も疑問も持たないが、その一日を想像して気疲れをしたように溜め息を吐く。
 「お前も一緒に遊んでくればいい。いつも世話になっているから気を遣ったんだが」
 「聖騎士王太子殿下は女性の相手が大変なのをご存知ないんですよ。複数人にるとなると、それはもう……」
 フィデリックは何かを思い出してうんざりとした表情をする。
 ウィラルドはマリー以外とは浮いた話ひとつない。
 ウィラルドは国民からは白馬に乗った冷酷聖騎士と呼ばれて、畏怖の念を抱かれている。
 それに加えて愛想が良くないため、ウィラルドに声をかける令嬢はいない。
 ほとんどの令嬢は遠くからウィラルドを羨望の眼差しで見つめるだけだ。
 ウィラルドはフィデリックから意外な言葉を聞くと言葉を返す。
 「お前がそんなに女性を相手にしているとは知らなかった」
 「実家で嫌というほどやりました。……姉が三人いるんです」
 フィデリックはかしましい姉たちを思い出し、さらにうんざりする。
 「そうか。ならば慣れたものだろう」
 「ひどいですっ!」
 ウィラルドは姉を相手にしているならばと思い、無感情にフィデリックへ言葉を投げると、フィデリックから素直な感情が返ってきた。
 「あの、わたしは大人しくしていますね」
 マリーはフィデリックの苦労は分からないが、不憫になって声をかけるとフィデリックが恐縮する。
 「すみません、ただの拒否反応です。マリー様はお気になさらずに楽しんでください」
 フィデリックが笑顔を見せると、マリーはウィラルドとフィデリックを見て嬉しそうに言う。
 「ありがとうございます。ウィラルド様とフィデリックさんは仲が良いのですね」
 マリーにはウィラルドがフィデリックに心を許しているように見て嬉しく思う。
 「そう言っていただけるのはありがたいです」
 フィデリックがマリーへ返すと、ウィラルドがマリーへ仕事を振る。
 「マリー、これを頼む」
 「はい」
 マリーは返事をして書類を受け取る。
 ウィラルドの相棒のように動くマリーを見てフィデリックは「お二人の方が仲が良いですよ」と心の中で呟いた。
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