聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました

 マリーたちはカフェから移動して博物館へやってきた。
 博物館は歴史的な展示物の中に英雄聖騎士である、エドワルドが使用していたとされる聖剣が特別展示をされている。
 エドワルドの聖剣は一般的な長さで剣身は細めになっており、剣身の中心に柄から剣先へ向かって溝がある。
 ウィラルドの聖剣はエドワルドとほぼ同じ聖剣だ。
 唯一の違いは聖剣の柄の上にある、横に突き出たガードの中央にオーバル型の白いオパールが聖剣の証として装飾されている点だ。
 白いオパールを覗くと遊色効果によって白バラが浮き出て見えるが、それはウィラルドとマリーしか確認できない。
 マリーはエドワルドの聖剣を眺めて、エドワルドがアンナを守って戦っているのを想像した。

 マリーたちは博物館の見学を終えると、大聖堂へ移動した。
 マリーがたまにこの国の聖女たちと共に祈り、境界線へ聖女の力を送っている大聖堂だ。
 陽が傾いている広い大聖堂の中は薄暗く荘厳な雰囲気で包まれている。
 大聖堂の公開終了時間が近いため、現在訪れている人は少なく空いている。

 マリーはヘレナたちと離れて数段の段差で高くなり、柵で区切られた場所まで一人で近づく。
 その奥に安置されている等身大ほどある大聖女アンナ像を見つめる。
 (毎日祈っていたのに、全然気づかなかった)
 大聖女アンナ像はこの大聖堂でも白バラを胸に抱いて微笑んでいる。
 マリーは大聖女アンナ像が夢で見た白バラを胸に抱くアンナと重なる。
 「わたしはエドワルド様が好きです」
 大聖女アンナ像を眺めていると、マリーにその言葉が聞こえてくるようだった。
 (アンナ様……)
 マリーは両膝を付いて、首から下げている聖女のロザリオを両手で握って大聖女アンナ像へ祈り始める。
 マリーはアンナが何百年もエドワルドへ自分の気持ちを伝えたかったのかと思うと切なくなってくる。
 マリーが大聖女アンナ像へ祈り終えると、フィデリックに声をかけられる。
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