聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーはフィデリックと共に馬車に乗り、王城へ帰るとウィラルドがマリーを出迎えた。
 フィデリックはマリーとウィラルドに挨拶をして別れると、疲れた顔で今日の報告書を作成するために聖騎士事務所へ向かった。

 マリーとウィラルドは共に夕食を取り終えると、ウィラルドは執務の残りを片付けるために執務室へ向かうと言う。
 マリーも一緒に執務室へ行くと言ったが、すぐ終わるとウィラルドに断られた。
 代わりに執務が終わり次第向かうので、マリーの部屋で待っていてほしいとウィラルドに言われた。
 マリーは頷くと自室へ戻り、ウィラルドが来るのを待った。

 マリーはウィラルドが来るのを待っている間、ヘレナたちと出かけた時に購入した宗教研究家の論文である”大聖女アンナの真実”を読んでいた。
 論文にはマリーが夢で見た事より詳しいことは書かれていなかった。
 論文の内容は大聖女アンナが胸に抱いている白バラについて触れており、夢でエドワルドが言った通りの事が書かれていた。
 しかしその真実は花言葉でしか読み解けていなかった。
 手紙などとは違い、確かな証拠ではないために仮説の域を脱していない。
 マリーにとって知っている情報だったが、その論文によってアンナとエドワルドの気持ちを人々に知ってもらえている事が嬉しかった。
 「アンナ様」
 マリーはアンナの名前を呼び、首から下げている聖女のロザリオを右手で思いを込めて握る。
 「まだアンナ様たちの気持ちには及ばないかもしれませんが、わたしは本気でウィラルド様が好きです。でも、どうしたらいいか分かりません」
 マリーはウィラルドと共にいたいと思うが、それはパートナーの聖女としてそばにいたいと思うのか、恋人としてそばにいたいのか分からなかった。
 おそらくマリーの中ではすでに答えは出ているが、恋を知らないために本人は気づかずにいる。

 マリーはウィラルドの事を考えていると、部屋の扉がノックされる。
 マリーは返事をして置き時計に目をやると、すでに深夜の時間になっていた。
 マリーは扉を開けるとウィラルドが立っていた。
 「ウィラルド様、来てくれたのね!」
 ウィラルドの姿を見たマリーは一瞬で満面の笑みになる。
 「遅くなってすまない。マリーに会いたかったからな」
 マリーはウィラルドが来てくれた事に喜び、部屋へ招き入れる。
 「マリーが眠っていなくて助かった。少し話せるか?」
 「もちろんよ!」
 マリーとウィラルドはテーブルセットの椅子に向かい合って座る。
 「王都は楽しかったか?」
 「楽しかったわ! わたしがずっと聖女だったら、一生知らなかったかも。それでね、最初に行ったのがーー」
 ウィラルドがマリーに尋ねると、マリーは今日の出来事をウィラルドへ楽しそうに話し始める。
 ウィラルドは楽しそうに今日の事を一生懸命に話すマリーを温かい視線で見つめて話しを聞いている。
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