聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーの話しが一段落すると、マリーは先程まで読んでいた論文についてウィラルドへ尋ねる。
 「ウィラルド様は”大聖女アンナの真実”という論文を知ってる? ウィラルド様が来るまで読んでいたの」
 マリーがテーブルに置いてある本を手に取ってウィラルドに見せる。
 「ああ、知っている。俺はマリーと出会う前に読んだ。真実を暴くなんて、とんだ研究家がいるもんだ」
 「真実暴くって……。もしかしてウィラルド様も、夢をーー?」
 主観的な夢だったため、マリーはウィラルドも同じ夢を見ているとは思わなかった。
 「やっぱりマリーも見ていたんだな。そんな気がしていた。俺もマリーと同じ夢を、俺はエドワルド様を通して見ていた」
 マリーへ夢の事を聞くタイミングを逃していたウィラルドはマリーが同じ夢を見ていた事を嬉しく思うが、執務中に考えていた不安要素が大きくなっていく。
 「そうだったのね。ウィラルド様、わたしはどうしたらいいのかな……」
 今まで明るい声で話していたマリーは視線と声のトーンを落としてウィラルドに尋ねる。
 「何がだ?」
 「わたし、大聖女アンナ様の気持ちを背負いきれないかも……」
 マリーは大聖堂で見た大聖女アンナ像を思い出す。
 マリーにとって、アンナとエドワルドのお互いを想う純粋な気持ちはとても大きく深い。
 「わたし、二人のために何ができるのかな?」
 お互いを想いながらも結ばれなかったアンナとエドワルド。
 マリーは二人のために何かをしたいと強く思うが、何をしたらいいのか分からない。
 ウィラルドは真剣に悩むマリーへ優しい笑みを零す。
 「マリーは優しいな」
 ウィラルドは手を伸ばしてマリーの頬を優しく撫でる。
 マリーは頬に触れられてウィラルドに視線を向ける。
 「マリーが大聖女アンナ様を大切に思っているから、今回の夢が見られたのかもな。推測だが、大聖女アンナ様はマリーを困らせるために夢を見せたわけではないだろう」
 マリーの黄色い瞳が真っ直ぐウィラルドのロイヤルブルーの瞳を見つめている。
 透明度が高く、神々しく柔らかい黄色をしたマリーの瞳。
 ウィラルドはマリーの全てを照らして包み込む、天からの光のような優しい眼差しがジェルブロゼ村で再会した時から好きだ。
 瞳だけではない。
 手から滑り落ちるシルク糸のような美しく艶のあるベビーピンクの髪。
 か弱そうな華奢な身体。
 可愛らしく優しい声。
 ウィラルドに向ける愛らしい笑顔。
 マリーの全てを愛おしいと思うウィラルドは前世がエドワルドという理由だけではない。
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