懲罰復讐列車(メトロ・ネメシス) ※一括掲載

特別編(後) メンヘラ魔女車掌サリーナ、パパと再会・暴走す!

※ポルノ短編でしたが、今回の掲載では露骨なアダルトシーンを省略しています。


「それで海月(かげつ)が、『もし逃げるんだったら、一緒に行くよ』って。もちろん行くところが別にあるわけじゃないけど、正直キュンときたわー。駆け落ちとか、実際にはアレだろうけど、それはそれでロマンだしー」
 サリーナはシュークリームを食べながら、アヤにノロケている。
 ここは駅職員の居住スペースで女子個室部屋の間にある、ソファと机を並べた談話スペースだ。よく女たちはここで飲み物やお菓子を摘みながらお喋りし、水母天使の駅長もテレビ電話の内線でたまに混ざるのが常だった。
「『サーシャのためだったら何でもする』なーんて」
 両手で頬を押さえてサリーナはうっとりとした顔。この年がら年中飢えたヤリマン美女がここまで入れ込んでしまうとは、よほど海月は真剣一途なのだろうか。そもそもサリーナの場合には愛情欲求がもつれて素行がアレだった面がなくもない。
(サリーナさん、元気になって満足そうで良かった。いつもどっか寂しそうで、見てて可哀想だったもの……)
 半分くらい共犯(?)であるアヤは興味深げに頷いて聞き入っている。
 最初はミスマッチかと思ったものの、案外にシックリシッポリであるらしい。
 サリーナからすればオトコへの愛と本能欲求と母性充足を同時に満たしてくれる上、海月は容姿も悪くはなく性格も許容範囲だから(しかも親しいアヤとカリーナの血縁者)、この上なくグッドだとか。
 そもそもがサリーナの内通行為によって、海月との行為は隣り部屋のアヤに筒抜けになっている。最初はサリーナの内線携帯電話からの垂れ流しで、今では早急に専用の覘きカメラまで設置した徹底振りなのだ。女どもはある種の共謀にかけては男など及びもつくまい。そして「姉貴分として先祖として」その情交の有様は、アヤによって面白半分に観察チェックされ、彼女の指遊びのオカズになっている秘密の裏事情がある(サリーナもまた楽しんでいるようだ)。
 二人の女はお茶とお菓子でガールズトークにニヤニヤと花を咲かせる。
「初めての女で、のぼせちゃってるんでしょうか。サリーナさん、美人だし、メトロの幽霊だからお互い歳もとらないですし、ちょうどいいのかも。あのバ海月(ばかげつ)なんかで楽しんで貰えたら嬉しいです」
 しかもあまり言いたがらないが、アヤにとってもちょうどいい自慰のための興奮材料なのだ。海月は子孫であるだけに、違う人間ではあるものの、愛兄のリクと姿や声が似て感じられることも多い。アヤ自身が海月をそういう行為や欲望の対象にしようとは思わないけれども、見物して楽しんだ上で、サリーナや磨乃との雑談の肴にするのも悪くはない。
 まさしく二人の女にとって、海月は完全に「玩具」であった。
 そして内容があって意味のない、喋ってコミュニケーションすること自体が目的の歓談が数十分続いた頃に、サリーナの携帯電話(駅の内線端末)が鳴る。
 電話の主はコアラだった。
「ちょっと頼みたいことがあるんだが」
「ふぁい?」
「この間捕まえた、捕虜の訊問の続きなんだが……」
「りょーかい、すぐ行きますよ」
 サリーナはどちらかと言えば上機嫌に、アヤにウインクして席を立つ。
「おしっ! だったらここは『女王様復活!』でビシバシやったげるわ! ……アヤちゃんは、ドイツ・ナチのSS(親衛隊)とKGB(ソビエト秘密警察)と、どっちのスタイルが良いと思う? かっこだけの話なんだけど」
「うーん、どうなんでしょう?」
 アヤは曖昧な笑顔を浮かべている。
 どちらをモチーフにした女王様コスプレだろうと、どの途に捕虜がサリーナから訊問で鞭打たれることに変わりはない。しかもそれは厳密には拷問ではなく、変態趣味の捕虜への特別サービスという建前やジョークになっているようだ。
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