く ち な し―身代わりの恋
祐介の電話が鳴った。

「はい、もしもし、港口さん? おはようございます! どうされました?」

祐介の声色が変わる。
後援会の港口さんは、つまらない事ではけして電話をかけてこないからだ。

「えっ? いや存じておりません、待って下さい!」

祐介は、ずっと私から奪っていたパソコンを立ち上げて、焦った様子でHPを開いていた。


「……何だ、これは」

まさか、と思った。
頭を過ったのは、大橋と私がホテルから出てきた所を山脇さんに撮られた事。

「こ、これは事実ではないです!」

祐介の背後から、恐る恐るパソコンの画面を覗き込む。

「!」

板垣祐介のHPのコメントに投稿されていたのは、私と大橋の事ではなく、

「えっ?! Xでも?!」

県議員である祐介が、公費を使ってホステスと不倫旅行をしていた証拠の写真だった。
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