く ち な し―身代わりの恋
やっぱり理に助けを求めれば良かった。
両親は無理でも、理なら分かってくれたかもしれない。

……でも。

「ずっと山脇さんを見張りにつけておく気? 2年も?」

祐介の脅しは隙だらけだし現実味がない。

「山脇は実務では役立たずだから丁度いいんだ。それに、こんな生活を続けていれば梓も慣れてくる」

「え?」

「元々社会に適応するタイプでも無かったろ? この限られた空間の方が居心地良くなってくるさ、お前はそういう暗い女だよ」

どこまでも私を侮辱し続ける。

「山脇や梓のやっていた事なんて、他の誰でも俺でも出来る」

目の前の花瓶を、夫の頭に打ち付けてやりたい衝動にかられた。

――その時。
< 134 / 156 >

この作品をシェア

pagetop